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スウェーデン人はミートボール以外のものも食べる。以下の10の珍味のうち、あなたはどれか試したことがあるだろうか

1.リンゴンベリーは何にでも合う

 ケチャップやマスタードと同じように、リンゴンベリーのジャムは、ミートボールやパンケーキ、お粥やブラッドソーセージ(blodpudding)など、さまざまな料理に使用される。しかしながら、甘いにも関わらず、パンに塗られることは滅多にない。自然享受権(allemansrätten)という、自然を自由に散策したり楽しんだりできることを認める権利のおかげで、多くのスウェーデン人は、森でリンゴンベリーを摘んだり、この小さくて酸っぱい果物からジャムのような保存食を作りながら大きくなった。


リンゴンベリーは基本的にどんな料理にも合う Photo:Magnus Carlsson/imagebank.sweden.se
2.酢漬けニシン-スモーガスボードの主役

 スモーガスボード(スウェーデンの伝統的なビュッフェ)では、ミートボール(köttbullar)の代わりに小さなソーセージ(prinskorvar)を使ったり、スモークサーモンの代わりに塩漬けサーモン(gravlax)を使ったりすることがあるが、酢漬けニシン(sill)無しには成り立たない。この魚の食べ物は全ての典型的なスウェーデンビュッフェの基本であり続けている。
 北海とバルト海はニシンが大量に生息しているので、スウェーデン人は中世からニシンを酢漬けにしており、その主な目的は魚を保存し輸送することだった。酢漬けニシンには様々な味があり、数例挙げるなら、マスタード、オニオン、ガーリックやディルなどがあり、ボイルポテト、サワークリーム、刻んだチャイブ、癖のある硬めのチーズ、時にはゆで卵やクリスプレッドと一緒に食べられる。


発酵ニシンのラップ包みは、次第にクセになる味だ Photo:Magnus Skoglöf/imagebank.sweden.se

スウェーデンスタイルのニシンには、様々な形や味がある。 Photo:Matilda Lindeblad/Johnér/imagebank.sweden.se
3.クリスプブレッド-あなたのお気に入りのトッピングはどれ?

 パンとバターに加えて、クリスプブレッド(knäckebröd)がメインの料理と共によく提供される。これこそスウェーデン人が求めているものだ。かつては貧しい人の食べ物とされていたが、スウェーデンのクリスプブレッドには500年以上の歴史があり、適切に保存すれば最低でも一年は保存が効く、最も用途の広い食品の一つだ。
 スウェーデン社会庁(Socialstyrelsen)は、1970年代のキャンペーンで、スウェーデン人がクリスプブレッドを含むパンを、一日に6から8スライス食べることを推奨していた。クリスプブレッドには様々な形、厚み、味があり、店の棚を埋めつくしている。朝食にはスライスしたゆで卵やチューブのキャビアをトッピングし、昼食にはハムやチーズ、きゅうりのスライスなどをのせ、夕食にはシンプルにバターを塗って食べられている。

クリスプブレッドは軽食に最適 Photo:Jakob Fridholm/imagebank.sweden.se
4.エビサンドイッチ(Räksmörgås)その他のオープンサンドイッチ

 サンドイッチを注文した時に、一枚のパンで出てきても驚かないでほしい。それが典型的なスウェーデンのオープンサンドイッチだ。スウェーデンのオープンサンドの概念は厚い板状のパンをお皿として利用していた1400年代にさかのぼる。
 スウェーデンのエビサンドイッチ(räksmörgås or räkmacka)は、今でも王様の献立の1つである。ゆで卵とレタス、トマト、キュウリを高く積み上げ、生クリームにディルや魚卵をあえたクリームソース(romsås)をかけて食べる。エビサンドイッチはスウェーデンの文化に欠かせないものであり、何もしていないのに有利になるという意味で’glida in på en räkmacka’(文字通りに訳せば「エビサンドイッチに滑り込む」だが、ざっくり言うと「ただ乗りする」と同義)という表現があるほどだ。

王様にも提供されるエビサンドイッチ Photo: Marie Ullnert/imagebank.sweden.se
5.エンドウ豆のスープとパンケーキ

 多くのスウェーデン人は毎週木曜日にエンドウ豆のスープとパンケーキ(ärtsoppa och pannkakor)を食べて育つ。この伝統は、第二次世界大戦以降にスウェーデンの軍隊が支えてきた。その起源については、カトリック教徒が金曜日に肉を食べなかったため、木曜日に豆のスープでお腹を満たしたとか、豆のスープは木曜日を半日勤めにしている給仕が簡単に作ることができたとか、さまざまな説があるが、この伝統は確実に根付いている。伝統的なランチレストランでは、木曜日に豆のスープとリンゴンベリージャムその他のジャム(sylt)が添えられたパンケーキを提供することが多い。

エンドウ豆にチャンスを Photo:Susanne Walström/imagebank.sweden.se
6.プリンセストータ(Prinsesstårta)-王家の楽しみ

 スウェーデン中のパン屋さんのウインドウを彩っているのが、鮮やかなピンクのシュガーローズをトッピングした人気のグリーンプリンセスケーキ(prinsesstårta)だ。ジャムとバニラカスタードを塗った黄色のスポンジケーキを何層にも重ね、ホイップクリームをたっぷり乗せて、甘いグリーンのマジパンで丁寧に封をしたケーキである。
 スウェーデンでプリンセスケーキが誕生したのは比較的最近のことで、1920年代、イェニー・オーケルストレム(Jenny Åkerström)が考案した。国王グスタフ5世の弟カール・ベルナドッテ王子の娘たち、マルガレータ、メルタ、アストリッドの3王女がこよなく愛したことから、その名がついたという。
 9月の第3週がプリンセスケーキ週間とされているが、今は特別なお祭りの時に食べられたり、人生の節目に使われたりしている人気のケーキである。現在では、定番の緑をはじめ、イースターの黄色、クリスマスの赤、ハロウィンのオレンジ、ウエディングの白など、さまざまな色が用意されている。

マジパンとクリームでできたプリンセスケーキ Photo:Magnus Carlsson/imagebank.sweden.se
7.楽しみな甘いものカレンダー

 スウェーデンでは、甘いものを食べる口実がいつでも見つかる。というのも、特定の砂糖菓子を祝う日がカレンダーに定められている。10月4日は「シナモンパンの日(Kanelbullens dag)」である。
 クリームとアーモンドペーストを挟んだパン「セムラ」は、四旬節の初日であり、灰の水曜日(askonsdagen)の前日にあたるざんげの火曜日(Shrove Tuesday やFat Tuesday)に食べられる。
 3月25日はワッフル(våfflor)の日で、11月6日にはグスタフ2世アドルフ王のシルエットをかたどったチョコレートやマジパンを飾ったスポンジケーキ(Gustav Adolfs-bakelse)が食べられているが、これは1632年のこの日にリュツェンの戦いで命を落としたスウェーデン君主を悼んでのものとされている。

毎日がシナモンパンの日 Photo: Simon Paulin/imagebank.sweden.se
8.ザリガニに夢中

 8月になると、スウェーデン中の庭やバルコニーで一口サイズの淡水または海水ザリガニ(かつてラングスティーヌ、あるいは面白いことにノルウェーロブスターと呼ばれていた)を食べながら、暖かい夏の夜を過ごすザリガニパーティー(kräftskivor)があちこちで行われる。
 1500年代にはスウェーデンの上流市民と貴族だけが食べていたザリガニは、大量輸入により価格が数世紀かけて大幅に下がり、今や国民全員が楽しめる珍味となっている。

ザリガニパーティーでは、少々おバカな格好をしていても大丈夫 Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se
9.シュールストレミングは臭い

 どんな文化にも、地元の人や観光客を唸らせる名物料理が少なくともひとつはある。8月下旬から9月上旬にかけて、スウェーデン、特に北部では悪臭を放つ伝統が残っている。発酵させた酸っぱいバルト海のニシン(surströmming)の缶詰を開けて楽しむ人が、少なくとも何人かいる。この「珍味」は16世紀から取引されてきた。缶詰の開封は腐った卵や下水に例えられるほど強烈で不快な臭いがするため、できれば屋外で行われるのが望ましい。毎年8月の第3木曜日がSuströmmingの初開封の日とされている。

シュールストレミングは、本当に勇気のある人だけが食べることができる Photo:Tina Stafrén/imagebank.sweden.se
10.土曜日のお菓子(Lördagsgodis)

 スウェーデンの平均的な家庭は、大人2人と子供2人で、週に1.2キロのお菓子を食べるが、そのほとんどが「お菓子の日」である土曜日に消費される。歯を守るため、虫歯を防ぐためと言われているこの週1回のお菓子の習慣は、歴史的には、やや疑わしい医学的な施策と関係がある。
 1940年代から1950年代にかけて、ルンドにあるヴィペホルム(Vipeholm)精神病院で、お菓子に関して非常に賛否の分かれる実験が行われた。研究のための人体実験の一環として患者に大量のお菓子を食べさせ、意図的に虫歯を作らせたのである。1957年にお菓子と虫歯に直接的な関係があることが分かったことから、医療委員会はスウェーデン人がお菓子を食べるのを週に一度だけにするように勧告したのである。そして、この不文律が今でも多くの家庭で守られているというわけだ。

お菓子に目がない Photo: Lieselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se

原資料掲載ページ:https://sweden.se/culture/food/10-things-to-know-about-swedish-food
翻訳時点の最終更新日 2021年11月18日
翻訳 青木 瞳 小池桃佳 中村由芽 
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。


さあパーティーを始めよう! Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

ザリガニをお供に、ビール、シュナップス、友達、そして愉快な歌を用意しよう

 1900年代初頭、スウェーデンは川でのザリガニ漁に規制を設けた。これは乱獲の恐れがあるためで、8月から数カ月間が漁期とされた。こうしてザリガニは高級な珍味として人気を集めるようになった。また、川や湖に生息するザリガニは、カビの寄生によって何度も壊滅的な打撃を受けた。
 現在では、輸入されたザリガニが一年中販売されているが、この季節の風物詩を捨てようとするスウェーデン人はほとんどいない。8月初旬になると、メディアはその年のザリガニを詳しく調べ、有名人から情報をもらい、スーパーで売られている様々なザリガニのブランドをランキングで紹介し、この宴のための舞台を用意する。
 ある年は中国産が、またある年はアメリカ産が最高と目されたが、言うまでもなくスウェーデン産ザリガニがいつも優勝する。しかし、スウェーデン産は高価な点が問題だ。スウェーデンではザリガニは、原産地がどこであれスウェーデン人が好むように塩水で調理され、たっぷりとクラウンディルが添えられる。
 もちろん、ごく少数ながら自分でザリガニを見つけて捕ってくる人もいる。この小さな生き物は暗闇を好むので、底を這っているのを見つけることができる。餌は腐った魚や生魚で、針金仕掛けの罠で捕まえることが出来る。ただし、捕まえたザリガニは食品衛生上、生きたまま鍋に入れなければならない。

伝統的なザリガニパーティー

 かつては富裕層のものであったザリガニパーティーは、現在では誰もが参加できる行事となった。このザリガニパーティーは長い間続く伝統的なものとなっている。
 ザリガニは屋外で食べ、テーブルには色とりどりのランタンが吊るされる。最もポピュラーなのは、微笑むような満月を描いたランタンである。テーブルクロスも色とりどりの皿も紙製でなければならない。首にはビブスをつけ、頭には紙でできたコミカルな帽子を被る。
 そして、宴会が始まる。ザリガニは冷たいまま、指で食べる。ザリガニの汁を吸うときは、音をたててもかまわない。そして、パンとヴェステルボッテンなどの強いチーズを付け合わせに食べる。飲み物はビールとシュナップスが中心だ。

スウェーデンのザリガニ祭り、その起源

 スウェーデンでは1500年代からザリガニが食べられ始めた。貝類を食べることへの疑いが人々の間に広まっていたこともあり、ザリガニのような珍味を楽しんだのは貴族だけであったが、その肉はソーセージやラグー、パテ、プディングに用いられていた。

ザリガニ祭りの起源をより詳しく

 1800年代半ばに、ザリガニは今日のように食べられるようになった。8月のザリガニの祝宴や夕食は中流階級に広まりを見せた。1900年代になるとザリガニは国家的な珍味となり、社会のあらゆる人々が親しむようになった。トルコをはじめとした他国からの輸入も進み、ザリガニの価格は下落していった。人々が集まり、食卓を囲み、飲み、賑やかな時間を過ごすザリガニ祭りは、夏の終わりを告げるスウェーデンの典型的なお祭りだ。


伝統的なザリガニパーティー Photo:Patrik Svedberg/imagebank.sweden.se

まずはザリガニを捕まえよう! Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

さあ食べよう! Photo:Emma Ivarsson/imagebank.sweden.se

面倒くさいし少々臭いため、ザリガニを食べるときは外が一番だ。 Photo:Patrik Svedbergimagebank.sweden.se

原資料掲載ページ:https://sweden.se/culture/celebrations/the-crayfish-party
翻訳時点の最終更新日 2022年6月13日
翻訳 小池桃佳 高原涼輔 中村太星 平川鈴弓
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。


楽しいミッドサマー(夏至祭) Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

沈まぬ太陽の下、花冠を被り踊るミッドサマー(夏至祭)

 スウェーデンの人々は自然との共感意識が高い。毎年ミッドサマーが訪れると5週間の休暇に入り、比較的短い夏の間に急いでやるべきことを済ませようとする。ミッドサマー前夜祭は田舎で行われるので、人々は前日に街を離れ、都会では店が閉まり、通りからは不気味なほど人の姿が消えていくのだ。
 一方、国内の主要な幹線道路は渋滞するのが常である。車の列が遠くまで伸び、満開の花がきらめく白樺の間で待つ家族や友人のもとへ向かっている。

メイポールと踊り

 ミッドサマーには大勢の人が集まる。実のところ、残りの休暇を安らかに楽しむため、家族や近所にしなければならない挨拶をそこで済ませてしまおうと思って参加するスウェーデン人も多い。伝統的な夏の盛りを祝うため、家族全員が一同に集まることが多いのだ。
 メイポールは最も開けた場所に掲げられ、その周りでは子どもや大人が伝統的なリングダンスを楽しむ。10代の若者たちはそれにはあまり参加せず、夜更けにさらに盛り上がるのを待っている。

夏至祭はいつ?

 スウェーデン人は秩序を好むため、夏至祭は常に6月19日から25日の間の金曜日に行われる。人々は、たいていメイポールに飾る花を摘んだりリースを作りながら、この日のお祝いを始めていく。

ニシンと新ジャガ

 夏至祭の典型的なメニューは、様々な種類のニシンの酢漬け、茹でた新ジャガに新鮮なディルやサワークリーム、チャイブを添えたもの。この後、スペアリブやサーモンなどのグリル料理が続き、デザートには夏の初物のイチゴにクリームを添えたものがよく出される。
 伝統的なお供は冷たいビールとシュナップスで、できればスパイスの効いたものが良い。グラスにお酒が注がれるたびに、人々の歌声が響く。
 夏至祭は、ある種のノスタルジーを伴う行事である。心の奥底で、スウェーデン人たちは、夏至祭がどのようなもので、どのように進行されるべきかについて同じ考えを持っている。だから、夕食の後、多くの人は昔のように踊りに出かけたくなる。できれば、湖のほとりの屋外のダンスフロアで、夜霧が立ちこめ、対岸の岩山からオーケストラの音が響いてくるような場所が望ましい。

夢で相手を見つける

 古い伝統では、若い女性がミッドサマーの夜に7種類の異なる花を枕の下に入れると、自分の将来の相手が夢に現れると言われている。(おそらくこれは若い男性でも通用するだろう。)

神秘的なミッドサマー

 ミッドサマーの前夜は、愛のための夢の時間であると言い伝えられている。実はこの日の夜ではカップルの仲の良さが試されるのである。お酒の影響で真実が明かされ、それは結婚にも離婚にもつながる可能性がある。
 キリスト教の聖霊降臨の日のように、ミッドサマーには結婚式やキリスト教の命名式が多く開催される。スウェーデン人の中には、あまり教会に行かないにもかかわらず、花で飾られたアーチ型の門があり、美しい聖歌が歌われている教会で結婚式を挙げたいという人がいる。

スウェーデンのミッドサマーの起源

 農耕時代においては、ミッドサマーは豊穣の季節である夏を歓迎する祝祭であった。一部の地域では、「グリーンメン」としてシダで身を纏う風習もあった。また家や農具を葉で装飾し、葉のついた高いメイポールを掲げてその周りを踊るという風習が、すでに1500年代には存在していたようである。
 ミッドサマーは本来若い人々のための行事であったが、スウェーデン中心部の工場で働く労働者たちも、塩漬けニシンやビール、シュナップスの宴会が行われ、祝祭を行うようになった。しかしこれがスウェーデンで最も伝統的な祭りとなったのは1900年代になってからである。

癒しの水、魔法の夜、ミッドサマーの起源

 6世紀以降、夏至祭の焚き火はヨーロッパ中で行われており、スウェーデンでは、主に南部の地域で行われていた。若者たちは聖なる泉を訪れ、聖なる水を飲み、ゲームやダンスを楽しんだ。これは洗礼者ヨハネがヨルダン川でキリストに洗礼を授けた事を思い起こさせる。
 ミッドサマーの夜は、一年でもっとも明るく、人々の未来を占うのに最適な時期として古くから魔法の夜と考えられてきた。少女たちは夢の中で、将来のパートナーが喉の渇きを癒すようにお水をもってきてくれることを願い、塩粥を食べた。さらに月の光の反射から財宝を見つける夢を見た。またその夜には、水がワインに代わり、シダが花に変わると言われてきた。その一夜限り、多くの植物が癒しの力を手に入れるからである。


伝統的ではないミッドサマーの柱の立て方 Photo: Simon Paulin/imagebank.sweden.se

花摘みは夏至祭の必須の活動 Photo: Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se

スウェーデンの夏は完璧な花冠の材料をもたらしてくれる Photo: Alexander Hall/imagebank.sweden.se

さあダンスを始めよう! Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

夏至祭のために伝統的な衣装を着る人もいる Photo: Per Bifrost/imagebank.sweden.se

ニシンは夏至祭の食卓には最も重要なものである Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

良い気候の年には、ちょうど夏至祭の時期にスウェーデンのいちごが熟している Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

ミッドサマーには友達や家族と会うのが常である Photo: Carolina Romare/imagebank.sweden.se

乾杯! Photo: Lieselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se

これは「ダンスバナ」というスウェーデンの典型的な野外ダンスフロア Photo: Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se

寝る前に7つの花を積むことを忘れないでね! Photo: Asaf Kliger/imagebank.sweden.se

原資料掲載ページ:https://sweden.se/culture/celebrations/midsummer
翻訳時点の最終更新日 2022年5月25日
翻訳 小池桃佳 高原涼輔 中村太星 平川鈴弓
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。

イケア(IKEA)とボルボ(Volvo)はスウェーデンの企業だとわかると思うが、このリストの残りの企業はどうだろうか


キーレス・キー Photo: Assa Abloy
1.アッサアブロイ(Assa Abloy)

 その名は知らずとも、誰しもがホテルのルームドアのカードキーをかざした経験はあるだろう。近年の解錠システムのグローバルリーダーとして、アッサアブロイのセキュリティロックは個人宅にも、多様な業界のビジネスにも使われている。1994年、スウェーデンのアッサ(Assa)とフィンランドのアブロイ(Abloy)が合併し、国際的な力を持つようになった。今日、アッサアブロイは世界70ヵ国以上の国に展開し、約49,000人の従業員を擁している。その入室システムは家庭用セキュリティドアやモバイルアクセスからバイオメトリックスその他の認識システムまで多岐に渡っている。


1964年に発売したルクソマティック(Luxomatic)掃除機の広告 Photo: Electrolux
2.エレクトロラックス(Electrolux)

 エレクトロラックスといえばすぐにキッチン家電を思い浮かべる人が多いと思うが、この会社が世界で十指に入る家電メーカーであることを知っている人は少ないだろう。創業は1919年で、元々は掃除機を販売し、後に冷蔵庫、洗濯機、食洗機など様々な家電製品が製造ラインに加わった。S&P Globalによるサステナビリティ・イヤーブックでは、家庭用耐久財部門で長年に渡り金賞、銀賞を受賞している。


シスタ(Kista)のエリクソン本社 Photo: Ericsson
3.エリクソン(Ericsson)

 電気通信技術市場の大手であるエリクソンは、モバイル技術やネットワークで世界的な知名度を誇り、世界の様々な大学や研究機関と強力なパートナーシップを結んでのイノベーションへのアプローチで、世界をリードしてきた。ラース・マグヌス・エリクソン氏は1876年のストックホルムで、後にエリクソンとなる会社を始めた。今日、同社は世界で約10万人の従業員を抱えている。


エシティは衛生上の重点項目の1つとして手洗いを推進している。 Photo: Melker Dahlstrand/imagebank.sweden.se
4.エシティー(Essity)

 赤ちゃんや小さなお子さんがいる家庭なら、ベビーケアとおむつのブランドであるリベロ(Libero)を知っているかもしれない。エシティはそのベビーケアのリベロ、フェミニンケアのリブレッセ(Libresse)、ティッシュペーパーのクッシェル(Cushelle)など多くのブランドを展開している世界有数の保健衛生企業の1つである。かつては1929年に創業した林業会社SCAの一部であったが、2017年に分社化し、今では自立した業界最大級の企業になっている。エシティのグローバルな取り組みは、月経衛生の日(Menstural Hygiene Day)や世界手洗いの日(World Hand Hygiene Day)への参加から、衛生関連の意識を高める写真展まで、多岐に渡っている。


ヴェステロース(Västerås)のH&M第1号店 Photo: H&M

東京のH&M旗艦店 Photo: H&M
5.H&M

 スウェーデンの典型的なミニマルかつシックなファッションを世界に発信しているへネス・アンド・マウリッツ、通称H&M。1947年にヴェステロースでヘネス(Hennes)という婦人服店としてスタートした創業者のアーリン・ペーション(Erling Persson)は、後に狩猟・釣り具店のマウリッツ・ウィドフォース(Mauritz Widforss)を買収し、公式の名称を正式に名前をへネス・アンド・マウリッツに改名し、1968年にはメンズとキッズの衣料品を加えた。それ以降、H&Mは世界各国に約5,000店舗を展開し、流行の服やアクセサリーを手頃な価格で展開しており、いくつかのサブブランドも加えてきた。H&Mは、児童労働や職場の安全問題などに関して、サブライヤーが行動規範を満たしているかの監査を受けることを約束している。
 また、2020年にH&Mは新しいリサイクルサービスとしてループス(Looop)を開始した。古くて不要になった衣類を機械で裁断し、古い繊維から新しい衣類を編む。この取り組みは、H&Mの完全な循環型社会の達成に向けた一歩となっている。


イケアでの買い物は、好きでもあり嫌いでもある Photo: Simon Paulin/imagebank.sweden.se
6.イケア(IKEA)

 1943年にイングヴァル・カンプラードが創業した家具の巨大企業イケアは、現在50カ国以上で460店舗近くを展開するまでに成長した。スタイリッシュなDIY(自作組み立て)インテリアや家具で知られるイケアは、人々の手先の器用さを引き出し続け、あまりお金のない多くの大学生にとって、なくてはならない存在となっている。1950年代に基本コンセプトである「フラットパック」を導入して以来、「クリッパン(Klippan)」「ポエング(Poäng)」「ビリー(Billy)」などのベストセラーを中心に、北欧テイストの家具を手頃な価格で提供することができるようになった。


ストックホルムの新カロリンスカ病院の巨大プロジェクト Photo: Skanska
7.スカンスカ(Skanska)

 スカンジナビア発祥をほのめかす名前であるスカンスカは建設と開発計画において世界をけん引する企業である。1887年に創業し、現在は約34,000人の従業員を持つ企業へと成長を遂げ、道路や橋、線路から病院やオフィス、空港に及ぶ、注目を浴びる建設計画に取り組んでいる。スカンスカのプロジェクトで興味深いものとしては、ストックホルムの新カロリンスカ病院、ニューヨークのラガーディア空港のターミナルB再開発、ニュージャージー州のメットライフスタジアム、デンマークへとつながるスウェーデンの有名なオーレスン橋(オーレスン・リンク)がある。


スポティファイのようなストリーミングサービスは、音楽をより身近なものにした。 Photo: CS/Sweden.se
8.スポティファイ(Spotify)

 オンライン上で著作権付きの音楽を共有することや配信することは熱心に議論されている問題だが、スウェーデンの企業であるスポティファイは海賊版の音楽ファイル共有サイトの代わりとして合法なオンライン上の音楽配信サービスを提供することにより、その架け橋をつくることを可能にした。ダニエル・エク(Daniel Ek)とマーティン・ローレンツォン(Martin Lorentzon)によって2006年に創業されたスポティファイはユーザーに数百万もの楽曲をコンピュータやスマートフォンといったような携帯端末で聞くことや、共有することを可能にした。この企業は世界中に3億8,100万人のユーザーがおり、そのうち1億7200万人が定額利用ユーザーであると推計している。


スウェーデン北部のルーレ(Lule)川にあるポリュス(Porjus)水力発電所 Photo: Vattenfall

ハイブリット(HYBRIT)は化石燃料なしの製鉄を目指している。 Photo: Viveka Österman
9.バッテンフォール(Vattenfall)

 世界中に数百万もの顧客を持つヴァッテンフォールは100年以上の間、住宅や企業にガスや熱、電気を供給している大手エネルギー会社である。同社は化石燃料を漸次廃止することを約束し、一世代以内に化石燃料の使用をやめることを目指している。2020年8月に、ヴァッテンフォールと鉄鋼会社のSSAB、国有の鉱業会社であるLKABは共同で、化石燃料を使用しない鉄鋼製造であるHYBRIT(HYdrogen BReakthrough Ironmaking Technologyの略称)のために、世界で初めてのパイロットプラント(試験的生産を行う工場)を始動した。その目的は2035年までに製法を完全に脱炭素化すべく、製鉄において使用する燃料を石炭から水素に代えることである。2021年には、同じくスウェーデン企業であるボルボグループ(下記)に対して、HYBRITが脱炭素鉄鋼を供給したことが発表された。


ボルボは電気自動車の開発を進めている Photo: Volvo Trucks
10.ボルボ(Volvo)

 ミートボール並みにスウェーデンを象徴するボルボは、年間売上高において、依然としてスウェーデン最大の企業である。ボルボの名は、エステートカー(アメリカで言うステーションワゴン)の愛すべき代名詞として世界中の家庭で知られているが、同社は他にもおよそ190の製品で知られている。
 中国の自動車メーカージーリーホールディンググループ(Greely Holding Group)は、2018年に、ボルボグループのトラック、バス、建設機器を中心とした部門を買収した。ボルボ・カーズは2010年から所有している。ただしボルボの本社は、依然としてスウェーデンのヨーテボリにある。
 1927年に創業したボルボグループは、10万人近くの従業員を抱え、世界18カ国に生産設備を有している。さらにボルボ・カーズには、さらに約4万人が働いている。

編者による註
 本リストに掲載した企業は、編者が選択したものであり、いかなる公式のランキングに基づくものでもない。掲載はアルファベット順である。データの出所は、StatistaのSweden’s 20 largest companies by turnover、ForbesのThe World's Most Innovative Companies、Fast CompanyのWorld Changing Ideas Awardなどである。

原資料掲載ページ:https://sweden.se/work-business/business-in-sweden/10-companies-you-didnt-know-were-swedish
翻訳時点の最終更新日 2022年1月25日
翻訳 駒村英美、鹿野 葵、東 花子
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。


新型コロナウィルス流行に関する記者会見に臨むスウェーデンのレーナ・ハーレングレン厚生社会大臣 Photo: Magnus Liljegren/Regeringskansliet

新型コロナウイルスの流行に対するスウェーデンの対応の概要

 スウェーデンでコロナウイルスが流行している間、スウェーデン政府はコロナウイルスに打ち勝つため、いくつかの分野で多くの様々な対策を講じてきた。独立した専門の政府機関は提言を行い、政府は決定を下してきた。それらの決定が常に目的としていたのは、以下のことである。
・国内における流行の拡大を抑えること
・医療資源を十分に確保すること
・重要な社会サービスの影響を抑えること
・人とビジネスへの影響を軽減すること
・情報供給等により不安を軽減すること

 様々な対策が様々な時点で効果をもたらすと考えられるため、コロナウイルスの感染拡大に対するスウェーデンの対応は、適切なタイミングに適切な対策を取ることが常に検討されてきた。この国の対応は、自発的な行動を部分的に頼りにしてきた。例えば、政府は全国的なロックダウンを施行するよりも、症状が現れた場合は自宅療養し、他者と距離を保ち、可能な限り公共交通機関の使用を避けることなどを提案するという形を取った。

・新型コロナウイルス流行拡大に関する、より多くの公式情報はkrisinformation.seで確認すること。
・ビジネスに関する新型コロナウイルスの情報はverksamt.seで確認すること。

ワクチン

 スウェーデンの新型コロナウイルスのワクチン接種は2020年12月に開始された。2022年3月末の時点では、12歳以上の国民の87パーセントが少なくとも2回接種している。18歳以上の国民については、62パーセントが3回接種をしている。
 スウェーデンの公衆衛生庁(Folkhälsomyndigheten)によると、高いレベルのワクチン接種率が制限解除のために最も重要な条件である。
 公衆衛生庁はワクチン接種を国民に推奨し続けている。この提言には12歳以上の子どもたちと、上気道感染症に非常に弱い5歳以上の子どもたちを含んでいる。

制限措置

 スウェーデン政府は、2022年2月9日に新型コロナウイルス関連の制限措置の大半を解除した。
 公衆衛生局によると、高いワクチン接種率と深刻な病状がみられにくいオミクロン変異体の組み合わせのおかげで、医療システムの負担は軽減された。

 ただしいくつかの制限措置はまだ実施されている。
・12歳以上の人は新型コロナウイルスのワクチン接種を受けることが推奨されている。
・新型コロナウイルスが疑われる症状がある場合は、自宅待機をし、人との接触を避ける必要がある。
・ワクチン接種を受けていない人は、屋内での混雑や人ごみを避ける必要がある。
 その他の公式の情報はkrisinformation.seで確認すること。

渡航禁止令の解除 2022年4月1日

 2022年4月1日の時点で、制限が解除されすべての国からの入国が可能となっている。 またこれによって、旅行者がスウェーデンに入国する際に予防接種や検査証明書を提示する必要はなくなった。
 渡航禁止令に関するより詳細な情報はgovernment.seで確認すること。


新型コロナウィルス流行における英雄の1人 Photo: Naina Helén Jåma/imagebank.sweden.se

感染流行の間は、ワークライフバランスの様子が少し変わった Photo:Melker Dahlstrand/imagebank.sweden.se

新型コロナウィルス流行暫定法

 2021年1月10日、スウェーデンは新型コロナウィルス流行暫定法を施行し、新型コロナウイルスの蔓延を制限すべく一時的な法的権限を政府に与えた。この法律によって、政府が人数や営業時間の制限を導入するなどの措置を講じることができるようになった。
 COVID19法は2022年3月31日まで有効であった。

責任の原則とは

 スウェーデンでは、危機管理は責任の原則の上に成り立っている。つまり、平時にさまざまな責任を持つ政府機関が、危機発生時においても同じく責任を持つということである。
 スウェーデンでは、政府機関は独立した専門家としての存在であり、新型コロナウィルスの感染拡大を抑え地域社会での感染拡大の影響に対抗するためにどのような対策が必要かを助言してきた。そしてその後に、政府が対策や方針を決定してきた。これらの機関は、感染管理に関する一定の独立した決定を行うこともできる。

政府機関への信頼

 スウェーデン社会では、一般に、政府機関に対する信頼が比較的強い。そのため一般市民や民間の関係者は、担当する機関のアドバイスに従う傾向がある。
 2020年3月以降、市場調査会社Kantar/Sifoは、一般市民の信頼、態度、行動を監視する「新型コロナウィルス世論調査(Covid-19 barometers)」を定期的に行っている。パンデミックの期間中、スウェーデンの最も中心的な機関の中には、国民からの信頼や支持が状況に応じて変動しているところがある。

スウェーデンにおける新型コロナウィルス流行期間中の学校生活

 スウェーデンの就学前学校と6歳から16歳までの基礎学校は、パンデミックの期間中も、いくつかの例外を除いて開校していた。スウェーデン公衆衛生庁は、スウェーデンの状況や社会全体に起こりうる影響を分析した上で、スウェーデンのすべての学校を閉鎖することは意味のある措置ではないとの判断を下したのである。
 スウェーデンの高校については、部分的に遠隔授業が推奨されたが、公衆衛生庁はこれを2021年4月1日に削除した。

原資料掲載ページ:https://sweden.se/life/society/sweden-and-corona-in-brief
翻訳時点の最終更新日 2022年4月1日
翻訳 飯島里彩、東 花子、和田安純
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。