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【Sweden.se日本語版】スウェーデンにおける10のイノベーション

調節可能なレンチからデジタル医師まで、これがスウェーデンにおける10のイノベーションだ。

A zip in a black jacket.

スウェーデンの効率性の最もシンプルな形-ジップしよう! Photo: Amanda Westerbom/imagebank.sweden.se

1.調節可能なレンチ(モンキーレンチ)

工具箱でよくみられる、モンキーレンチやイングリッシュキーとも呼ばれる、ボルトやナットを締める調節可能なレンチは日曜大工の際にとても重宝する道具である。最初の型のスパナは1842年にイギリス人のエンジニアであるリチャード・クライバーン(Richard Clyburn)が発明したものであるが、現在使われている、調節可能なレンチ、スウェーデンキーは、スウェーデン人発明家であるヨハン・ぺター・ヨハンソン(Johan Petter Johansson)がクライバーンの元の型を改良し、1891年に特許を取得したものである。

An adjustable wrench that lies diagonally.

調節可能なレンチーどこの家にもある? Photo: Bildarkivet

2.デジタル医師

スウェーデンのスタートアップ企業はデジタルヘルスケアやヘルステック分野において世界をリードしている。携帯、人工知能(AI)、その他の技術から、様々な形式のヘルスケア情報にアクセスすることが可能なシステムを提供している。KRYは医師と患者を繋ぐアプリであり、医師や心理士がオンライン上で患者を診ることができる。これは大きな注目が集まったと同時に、物議をかもしている。この企業はスウェーデンやノルウェー、スペインなどの公的資金で賄われる医療制度と併用してサービスを提供している。

このサービス以外にも、スウェーデンではオンラインで医師に診察してもらえるMin Doktor、Flow Neuroscience、Doctrin、Joint Academyなどのオンライン診察サービスがある。

A man in a white shirt seen without his head. He's holding a mobile phone in one hand, on the table in front of him is a stethoscope.

ヘルスケアアプリのおかげで、家で医師の診察を受けることができる。Photo: mindoktor.se

3.ベター・シェルター

ベター・シェルターとはフラットパック(平箱包装)の緊急避難シェルターである。このシェルターは鍵付きのドアやた太陽光パネルのついた、雨風にも強く、安全な17.5平方メートルの住居を難民に提供する。少なくとも3年は住めるように設計されており、その上、従来の難民用テントよりも断熱効果が高い。輸送しやすく組み立てやすい、持続可能かつ費用対効果が高く設計されている製品のため、何千ものベター・シェルターが多くの国々で提供されている。ベター・シェルターはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とイケア財団によって共同開発された。

Two grown-ups and two children sitting on cushions on the floor in a tent with solid walls.

イラクのカウルグスク(Kawergosk)のベター・シェルター家屋。Photo: Erik Hagman

4.スウェーデン発のアプリ「カルマ(Karma)」

みなさん、カルマをご存知だろうか?カルマは食品廃棄の問題をチャンスに変えられる。カルマはスウェーデンの起業家たちが立ち上げたアプリである。このアプリを介して、スーパーやレストラン、カフェは期限が近い余った食品を廃棄してしまう代わりに半額で販売することができる。たった2年間で、カルマはスウェーデンやイギリス、フランスで140万人ものユーザーを集めたとしている。

食品廃棄を減らすことはスウェーデン政府の課題でもある。「より多くのことを行うために、より多く努力する(More to do more)」はスウェーデンの環境保護庁と国家食品庁、スウェーデン農業委員会が掲げる活動方針である。これは2030年までにスウェーデン全体で食品廃棄を減らすことを目標としている。

A photo taken from above showing a woman at a counter holding out a hand with a mobile phone. Another person's hand is seen at the bottom of the picture, next to a computer screen. On the counter is also a bowl of food.

カルマは食品を廃棄から救う可能性がある。Photo: Karma

5.オーツミルク

北欧地域の雨に恵まれた気候はオーツ麦を育てるには最適な環境である。それに加え、スウェーデンはこの健康的な穀物を様々な方法で活用するために研究を重ねている。スウェーデンのブランドであるオートリー(Oatly)は恐らく代用乳の製品として最も有名ではないだろうか。オーツミルクはオートリーの創設者でもある、ルンド大学の食品科学者リカード・エステ(Rickard Öste)によって開発された。それ以降、オーツミルクは世界中の様々なスーパーやコーヒーショップで(、また乳産業におけるサステナビリティの議論において)主要な製品となった。

スウェーデンの農業協同組合(Lantmännen)もオーツの研究に投資している。ちなみにそこでは食品の研究のみならず、オーツ麦から家具を作るという新たな研究も行われている!

A close-up of oats in a field.

オーツはコレステロール値を下げる、血糖値を上げにくくする、さらにビタミンやミネラル、食物繊維、抗酸化物質を含むなどの多くの健康効果があると言われている。Photo: Helena Wahlman/ imagebank.sweden.se

6.ペースメーカー

1958年にルネ・エルムクヴィスト(Rune Elmqvist)は、電池式の人工ペースメーカーを開発し、ストックホルムのカロリンスカ(Karolinska)大学病院でオーケ・セニング(Åke Senning)医師による史上初のペースメーカー手術に使用された。ペースメーカーは心臓病患者の皮膚の下に設置され、ペースメーカーが生み出す電気パルスが筋肉を正常に伸縮させ、心臓を調整する。

A pacemaker standing up on a table.

世界中で100万個以上のペースメーカーが移植されている。Photo: Lars Lundberg/ imagebank.sweden.se

7.3点式シートベルト

今や全ての乗用車に標準設備されており、6分に1つの命を救っている3点式のシートベルトは、1959年にスウェーデンの発明家で安全エンジニアであったニルス・ボーリン(Nils Bohlin)がボルボ(Volvo)車用に開発した。このシートベルトは、事故が起きた際に動いてしまう身体にエネルギーを分散させるためにY字型のデザインになっている。

A black-and-white photo of a man in a car wearing a seatbelt.

ニルス・ボーリンは1959年に3点式シートベルトを発明した。Foto: Volvo Car Group

8.ユニティ(Uniti)

スウェーデンは電気自動車への移行における世界のリーダーであり、2030年までに100%化石燃料を使わない自動車に移行することを約束している。スウェーデンがこの分野で最も優れている例の一つが、「大都市のためのテスラ」と呼ばれる軽量電気自動車を開発するスタートアップ企業のユニティ(Uniti)である。同社はクラウドファンディングのキャンペーンを行い、2019年に実用化が予定された初期モデルの予約注文を約3,000台受け付けた。

A futuristic-looking, silver-coloured car driving on the road between parked cars on each side.

ユニティ・ワン(Uniti One)は「大都市のためのテスラ」となるか? Photo: Uniti

9.歩行補助機

スウェーデンの社会科学者であるアイナ・ウィファルク(Aina Wifalk)は21歳の時に、一時的あるいは恒常的な麻痺を引き起こすウイルスであるポリオを患った。彼女は杖を20年間使用して肩を痛めた末に、歩行器を発案した。この発明品は、1970年代後半から高齢者や障がい者の暮らしを楽にしてきた。彼女はできるだけ多くの人が歩行器を使えるよう、特許を取らなかった。今日まで、あなたたちの祖父母が元気に動けるよう、歩行器が支えてくれている。

An elderly woman in a park walking with a walking frame together with a younger woman.

現代の歩行器はアイナ・ウィファルクの発案である。Photo: Sofia Sabel/ imagebank.sweden.se

10 .ジッパー(ファスナー)

私たちになじみのある現代のジッパーは、1913年にスウェーデン系アメリカ人発明家であるギデオン・スンドベック(Gideon Sundbäck)が、それまでの非効率なモデルを改良し、発展させたものである。彼が新たに再設計した「分離可能なファスナー」は、1917年に特許を取得し、連結された歯をスライダーによってつなぎ合わせ、切り離すという特徴を有している。

原資料掲載ページ:https://sweden.se/work-business/business-in-sweden/10-swedish-innovations
翻訳時点の最終更新日 2021年6月1日
翻訳 舌間千夏、出原未彩
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。