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イケア(IKEA)とボルボ(Volvo)はスウェーデンの企業だとわかると思うが、このリストの残りの企業はどうだろうか
キーレス・キー Photo: Assa Abloy
1.アッサアブロイ(Assa Abloy)
その名は知らずとも、誰しもがホテルのルームドアのカードキーをかざした経験はあるだろう。近年の解錠システムのグローバルリーダーとして、アッサアブロイのセキュリティロックは個人宅にも、多様な業界のビジネスにも使われている。1994年、スウェーデンのアッサ(Assa)とフィンランドのアブロイ(Abloy)が合併し、国際的な力を持つようになった。今日、アッサアブロイは世界70ヵ国以上の国に展開し、約49,000人の従業員を擁している。その入室システムは家庭用セキュリティドアやモバイルアクセスからバイオメトリックスその他の認識システムまで多岐に渡っている。
1964年に発売したルクソマティック(Luxomatic)掃除機の広告 Photo: Electrolux
2.エレクトロラックス(Electrolux)
エレクトロラックスといえばすぐにキッチン家電を思い浮かべる人が多いと思うが、この会社が世界で十指に入る家電メーカーであることを知っている人は少ないだろう。創業は1919年で、元々は掃除機を販売し、後に冷蔵庫、洗濯機、食洗機など様々な家電製品が製造ラインに加わった。S&P Globalによるサステナビリティ・イヤーブックでは、家庭用耐久財部門で長年に渡り金賞、銀賞を受賞している。
シスタ(Kista)のエリクソン本社 Photo: Ericsson
3.エリクソン(Ericsson)
電気通信技術市場の大手であるエリクソンは、モバイル技術やネットワークで世界的な知名度を誇り、世界の様々な大学や研究機関と強力なパートナーシップを結んでのイノベーションへのアプローチで、世界をリードしてきた。ラース・マグヌス・エリクソン氏は1876年のストックホルムで、後にエリクソンとなる会社を始めた。今日、同社は世界で約10万人の従業員を抱えている。
エシティは衛生上の重点項目の1つとして手洗いを推進している。 Photo: Melker Dahlstrand/imagebank.sweden.se
4.エシティー(Essity)
赤ちゃんや小さなお子さんがいる家庭なら、ベビーケアとおむつのブランドであるリベロ(Libero)を知っているかもしれない。エシティはそのベビーケアのリベロ、フェミニンケアのリブレッセ(Libresse)、ティッシュペーパーのクッシェル(Cushelle)など多くのブランドを展開している世界有数の保健衛生企業の1つである。かつては1929年に創業した林業会社SCAの一部であったが、2017年に分社化し、今では自立した業界最大級の企業になっている。エシティのグローバルな取り組みは、月経衛生の日(Menstural Hygiene Day)や世界手洗いの日(World Hand Hygiene Day)への参加から、衛生関連の意識を高める写真展まで、多岐に渡っている。
ヴェステロース(Västerås)のH&M第1号店 Photo: H&M
東京のH&M旗艦店 Photo: H&M
5.H&M
スウェーデンの典型的なミニマルかつシックなファッションを世界に発信しているへネス・アンド・マウリッツ、通称H&M。1947年にヴェステロースでヘネス(Hennes)という婦人服店としてスタートした創業者のアーリン・ペーション(Erling Persson)は、後に狩猟・釣り具店のマウリッツ・ウィドフォース(Mauritz Widforss)を買収し、公式の名称を正式に名前をへネス・アンド・マウリッツに改名し、1968年にはメンズとキッズの衣料品を加えた。それ以降、H&Mは世界各国に約5,000店舗を展開し、流行の服やアクセサリーを手頃な価格で展開しており、いくつかのサブブランドも加えてきた。H&Mは、児童労働や職場の安全問題などに関して、サブライヤーが行動規範を満たしているかの監査を受けることを約束している。
また、2020年にH&Mは新しいリサイクルサービスとしてループス(Looop)を開始した。古くて不要になった衣類を機械で裁断し、古い繊維から新しい衣類を編む。この取り組みは、H&Mの完全な循環型社会の達成に向けた一歩となっている。
イケアでの買い物は、好きでもあり嫌いでもある Photo: Simon Paulin/imagebank.sweden.se
6.イケア(IKEA)
1943年にイングヴァル・カンプラードが創業した家具の巨大企業イケアは、現在50カ国以上で460店舗近くを展開するまでに成長した。スタイリッシュなDIY(自作組み立て)インテリアや家具で知られるイケアは、人々の手先の器用さを引き出し続け、あまりお金のない多くの大学生にとって、なくてはならない存在となっている。1950年代に基本コンセプトである「フラットパック」を導入して以来、「クリッパン(Klippan)」「ポエング(Poäng)」「ビリー(Billy)」などのベストセラーを中心に、北欧テイストの家具を手頃な価格で提供することができるようになった。
ストックホルムの新カロリンスカ病院の巨大プロジェクト Photo: Skanska
7.スカンスカ(Skanska)
スカンジナビア発祥をほのめかす名前であるスカンスカは建設と開発計画において世界をけん引する企業である。1887年に創業し、現在は約34,000人の従業員を持つ企業へと成長を遂げ、道路や橋、線路から病院やオフィス、空港に及ぶ、注目を浴びる建設計画に取り組んでいる。スカンスカのプロジェクトで興味深いものとしては、ストックホルムの新カロリンスカ病院、ニューヨークのラガーディア空港のターミナルB再開発、ニュージャージー州のメットライフスタジアム、デンマークへとつながるスウェーデンの有名なオーレスン橋(オーレスン・リンク)がある。
スポティファイのようなストリーミングサービスは、音楽をより身近なものにした。 Photo: CS/Sweden.se
8.スポティファイ(Spotify)
オンライン上で著作権付きの音楽を共有することや配信することは熱心に議論されている問題だが、スウェーデンの企業であるスポティファイは海賊版の音楽ファイル共有サイトの代わりとして合法なオンライン上の音楽配信サービスを提供することにより、その架け橋をつくることを可能にした。ダニエル・エク(Daniel Ek)とマーティン・ローレンツォン(Martin Lorentzon)によって2006年に創業されたスポティファイはユーザーに数百万もの楽曲をコンピュータやスマートフォンといったような携帯端末で聞くことや、共有することを可能にした。この企業は世界中に3億8,100万人のユーザーがおり、そのうち1億7200万人が定額利用ユーザーであると推計している。
スウェーデン北部のルーレ(Lule)川にあるポリュス(Porjus)水力発電所 Photo: Vattenfall
ハイブリット(HYBRIT)は化石燃料なしの製鉄を目指している。 Photo: Viveka Österman
9.バッテンフォール(Vattenfall)
世界中に数百万もの顧客を持つヴァッテンフォールは100年以上の間、住宅や企業にガスや熱、電気を供給している大手エネルギー会社である。同社は化石燃料を漸次廃止することを約束し、一世代以内に化石燃料の使用をやめることを目指している。2020年8月に、ヴァッテンフォールと鉄鋼会社のSSAB、国有の鉱業会社であるLKABは共同で、化石燃料を使用しない鉄鋼製造であるHYBRIT(HYdrogen BReakthrough Ironmaking Technologyの略称)のために、世界で初めてのパイロットプラント(試験的生産を行う工場)を始動した。その目的は2035年までに製法を完全に脱炭素化すべく、製鉄において使用する燃料を石炭から水素に代えることである。2021年には、同じくスウェーデン企業であるボルボグループ(下記)に対して、HYBRITが脱炭素鉄鋼を供給したことが発表された。
ボルボは電気自動車の開発を進めている Photo: Volvo Trucks
10.ボルボ(Volvo)
ミートボール並みにスウェーデンを象徴するボルボは、年間売上高において、依然としてスウェーデン最大の企業である。ボルボの名は、エステートカー(アメリカで言うステーションワゴン)の愛すべき代名詞として世界中の家庭で知られているが、同社は他にもおよそ190の製品で知られている。
中国の自動車メーカージーリーホールディンググループ(Greely Holding Group)は、2018年に、ボルボグループのトラック、バス、建設機器を中心とした部門を買収した。ボルボ・カーズは2010年から所有している。ただしボルボの本社は、依然としてスウェーデンのヨーテボリにある。
1927年に創業したボルボグループは、10万人近くの従業員を抱え、世界18カ国に生産設備を有している。さらにボルボ・カーズには、さらに約4万人が働いている。
編者による註
本リストに掲載した企業は、編者が選択したものであり、いかなる公式のランキングに基づくものでもない。掲載はアルファベット順である。データの出所は、StatistaのSweden’s 20 largest companies by turnover、ForbesのThe World's Most Innovative Companies、Fast CompanyのWorld Changing Ideas Awardなどである。
原資料掲載ページ:https://sweden.se/work-business/business-in-sweden/10-companies-you-didnt-know-were-swedish
翻訳時点の最終更新日 2022年1月25日
翻訳 駒村英美、鹿野 葵、東 花子
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。