新型コロナウィルス流行に関する記者会見に臨むスウェーデンのレーナ・ハーレングレン厚生社会大臣 Photo: Magnus Liljegren/Regeringskansliet
新型コロナウイルスの流行に対するスウェーデンの対応の概要
スウェーデンでコロナウイルスが流行している間、スウェーデン政府はコロナウイルスに打ち勝つため、いくつかの分野で多くの様々な対策を講じてきた。独立した専門の政府機関は提言を行い、政府は決定を下してきた。それらの決定が常に目的としていたのは、以下のことである。
・国内における流行の拡大を抑えること
・医療資源を十分に確保すること
・重要な社会サービスの影響を抑えること
・人とビジネスへの影響を軽減すること
・情報供給等により不安を軽減すること
様々な対策が様々な時点で効果をもたらすと考えられるため、コロナウイルスの感染拡大に対するスウェーデンの対応は、適切なタイミングに適切な対策を取ることが常に検討されてきた。この国の対応は、自発的な行動を部分的に頼りにしてきた。例えば、政府は全国的なロックダウンを施行するよりも、症状が現れた場合は自宅療養し、他者と距離を保ち、可能な限り公共交通機関の使用を避けることなどを提案するという形を取った。
・新型コロナウイルス流行拡大に関する、より多くの公式情報はkrisinformation.seで確認すること。
・ビジネスに関する新型コロナウイルスの情報はverksamt.seで確認すること。
ワクチン
スウェーデンの新型コロナウイルスのワクチン接種は2020年12月に開始された。2022年3月末の時点では、12歳以上の国民の87パーセントが少なくとも2回接種している。18歳以上の国民については、62パーセントが3回接種をしている。
スウェーデンの公衆衛生庁(Folkhälsomyndigheten)によると、高いレベルのワクチン接種率が制限解除のために最も重要な条件である。
公衆衛生庁はワクチン接種を国民に推奨し続けている。この提言には12歳以上の子どもたちと、上気道感染症に非常に弱い5歳以上の子どもたちを含んでいる。
制限措置
スウェーデン政府は、2022年2月9日に新型コロナウイルス関連の制限措置の大半を解除した。
公衆衛生局によると、高いワクチン接種率と深刻な病状がみられにくいオミクロン変異体の組み合わせのおかげで、医療システムの負担は軽減された。
ただしいくつかの制限措置はまだ実施されている。
・12歳以上の人は新型コロナウイルスのワクチン接種を受けることが推奨されている。
・新型コロナウイルスが疑われる症状がある場合は、自宅待機をし、人との接触を避ける必要がある。
・ワクチン接種を受けていない人は、屋内での混雑や人ごみを避ける必要がある。
その他の公式の情報はkrisinformation.seで確認すること。
渡航禁止令の解除 2022年4月1日
2022年4月1日の時点で、制限が解除されすべての国からの入国が可能となっている。 またこれによって、旅行者がスウェーデンに入国する際に予防接種や検査証明書を提示する必要はなくなった。
渡航禁止令に関するより詳細な情報はgovernment.seで確認すること。
新型コロナウィルス流行における英雄の1人 Photo: Naina Helén Jåma/imagebank.sweden.se
感染流行の間は、ワークライフバランスの様子が少し変わった Photo:Melker Dahlstrand/imagebank.sweden.se
新型コロナウィルス流行暫定法
2021年1月10日、スウェーデンは新型コロナウィルス流行暫定法を施行し、新型コロナウイルスの蔓延を制限すべく一時的な法的権限を政府に与えた。この法律によって、政府が人数や営業時間の制限を導入するなどの措置を講じることができるようになった。
COVID19法は2022年3月31日まで有効であった。
責任の原則とは
スウェーデンでは、危機管理は責任の原則の上に成り立っている。つまり、平時にさまざまな責任を持つ政府機関が、危機発生時においても同じく責任を持つということである。
スウェーデンでは、政府機関は独立した専門家としての存在であり、新型コロナウィルスの感染拡大を抑え地域社会での感染拡大の影響に対抗するためにどのような対策が必要かを助言してきた。そしてその後に、政府が対策や方針を決定してきた。これらの機関は、感染管理に関する一定の独立した決定を行うこともできる。
政府機関への信頼
スウェーデン社会では、一般に、政府機関に対する信頼が比較的強い。そのため一般市民や民間の関係者は、担当する機関のアドバイスに従う傾向がある。
2020年3月以降、市場調査会社Kantar/Sifoは、一般市民の信頼、態度、行動を監視する「新型コロナウィルス世論調査(Covid-19 barometers)」を定期的に行っている。パンデミックの期間中、スウェーデンの最も中心的な機関の中には、国民からの信頼や支持が状況に応じて変動しているところがある。
スウェーデンにおける新型コロナウィルス流行期間中の学校生活
スウェーデンの就学前学校と6歳から16歳までの基礎学校は、パンデミックの期間中も、いくつかの例外を除いて開校していた。スウェーデン公衆衛生庁は、スウェーデンの状況や社会全体に起こりうる影響を分析した上で、スウェーデンのすべての学校を閉鎖することは意味のある措置ではないとの判断を下したのである。
スウェーデンの高校については、部分的に遠隔授業が推奨されたが、公衆衛生庁はこれを2021年4月1日に削除した。
原資料掲載ページ:https://sweden.se/life/society/sweden-and-corona-in-brief
翻訳時点の最終更新日 2022年4月1日
翻訳 飯島里彩、東 花子、和田安純
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。