目次
- 1 沈まぬ太陽の下、花冠を被り踊るミッドサマー(夏至祭)
- 1.0.1 メイポールと踊り
- 1.0.2 夏至祭はいつ?
- 1.0.3 ニシンと新ジャガ
- 1.0.4 神秘的なミッドサマー
- 1.0.5 スウェーデンのミッドサマーの起源
- 1.0.6 癒しの水、魔法の夜、ミッドサマーの起源
- 1.0.6.1 伝統的ではないミッドサマーの柱の立て方 Photo: Simon Paulin/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.2 花摘みは夏至祭の必須の活動 Photo: Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.3 スウェーデンの夏は完璧な花冠の材料をもたらしてくれる Photo: Alexander Hall/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.4 さあダンスを始めよう! Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.5 夏至祭のために伝統的な衣装を着る人もいる Photo: Per Bifrost/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.6 ニシンは夏至祭の食卓には最も重要なものである Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.7 良い気候の年には、ちょうど夏至祭の時期にスウェーデンのいちごが熟している Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.8 ミッドサマーには友達や家族と会うのが常である Photo: Carolina Romare/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.9 乾杯! Photo: Lieselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.10 これは「ダンスバナ」というスウェーデンの典型的な野外ダンスフロア Photo: Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se
- 1.0.6.11 寝る前に7つの花を積むことを忘れないでね! Photo: Asaf Kliger/imagebank.sweden.se
- 2 共有:
- 3 いいね:
- 4 関連
楽しいミッドサマー(夏至祭) Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se
沈まぬ太陽の下、花冠を被り踊るミッドサマー(夏至祭)
スウェーデンの人々は自然との共感意識が高い。毎年ミッドサマーが訪れると5週間の休暇に入り、比較的短い夏の間に急いでやるべきことを済ませようとする。ミッドサマー前夜祭は田舎で行われるので、人々は前日に街を離れ、都会では店が閉まり、通りからは不気味なほど人の姿が消えていくのだ。
一方、国内の主要な幹線道路は渋滞するのが常である。車の列が遠くまで伸び、満開の花がきらめく白樺の間で待つ家族や友人のもとへ向かっている。
メイポールと踊り
ミッドサマーには大勢の人が集まる。実のところ、残りの休暇を安らかに楽しむため、家族や近所にしなければならない挨拶をそこで済ませてしまおうと思って参加するスウェーデン人も多い。伝統的な夏の盛りを祝うため、家族全員が一同に集まることが多いのだ。
メイポールは最も開けた場所に掲げられ、その周りでは子どもや大人が伝統的なリングダンスを楽しむ。10代の若者たちはそれにはあまり参加せず、夜更けにさらに盛り上がるのを待っている。
夏至祭はいつ?
スウェーデン人は秩序を好むため、夏至祭は常に6月19日から25日の間の金曜日に行われる。人々は、たいていメイポールに飾る花を摘んだりリースを作りながら、この日のお祝いを始めていく。
ニシンと新ジャガ
夏至祭の典型的なメニューは、様々な種類のニシンの酢漬け、茹でた新ジャガに新鮮なディルやサワークリーム、チャイブを添えたもの。この後、スペアリブやサーモンなどのグリル料理が続き、デザートには夏の初物のイチゴにクリームを添えたものがよく出される。
伝統的なお供は冷たいビールとシュナップスで、できればスパイスの効いたものが良い。グラスにお酒が注がれるたびに、人々の歌声が響く。
夏至祭は、ある種のノスタルジーを伴う行事である。心の奥底で、スウェーデン人たちは、夏至祭がどのようなもので、どのように進行されるべきかについて同じ考えを持っている。だから、夕食の後、多くの人は昔のように踊りに出かけたくなる。できれば、湖のほとりの屋外のダンスフロアで、夜霧が立ちこめ、対岸の岩山からオーケストラの音が響いてくるような場所が望ましい。
夢で相手を見つける
古い伝統では、若い女性がミッドサマーの夜に7種類の異なる花を枕の下に入れると、自分の将来の相手が夢に現れると言われている。(おそらくこれは若い男性でも通用するだろう。)
神秘的なミッドサマー
ミッドサマーの前夜は、愛のための夢の時間であると言い伝えられている。実はこの日の夜ではカップルの仲の良さが試されるのである。お酒の影響で真実が明かされ、それは結婚にも離婚にもつながる可能性がある。
キリスト教の聖霊降臨の日のように、ミッドサマーには結婚式やキリスト教の命名式が多く開催される。スウェーデン人の中には、あまり教会に行かないにもかかわらず、花で飾られたアーチ型の門があり、美しい聖歌が歌われている教会で結婚式を挙げたいという人がいる。
スウェーデンのミッドサマーの起源
農耕時代においては、ミッドサマーは豊穣の季節である夏を歓迎する祝祭であった。一部の地域では、「グリーンメン」としてシダで身を纏う風習もあった。また家や農具を葉で装飾し、葉のついた高いメイポールを掲げてその周りを踊るという風習が、すでに1500年代には存在していたようである。
ミッドサマーは本来若い人々のための行事であったが、スウェーデン中心部の工場で働く労働者たちも、塩漬けニシンやビール、シュナップスの宴会が行われ、祝祭を行うようになった。しかしこれがスウェーデンで最も伝統的な祭りとなったのは1900年代になってからである。
癒しの水、魔法の夜、ミッドサマーの起源
6世紀以降、夏至祭の焚き火はヨーロッパ中で行われており、スウェーデンでは、主に南部の地域で行われていた。若者たちは聖なる泉を訪れ、聖なる水を飲み、ゲームやダンスを楽しんだ。これは洗礼者ヨハネがヨルダン川でキリストに洗礼を授けた事を思い起こさせる。
ミッドサマーの夜は、一年でもっとも明るく、人々の未来を占うのに最適な時期として古くから魔法の夜と考えられてきた。少女たちは夢の中で、将来のパートナーが喉の渇きを癒すようにお水をもってきてくれることを願い、塩粥を食べた。さらに月の光の反射から財宝を見つける夢を見た。またその夜には、水がワインに代わり、シダが花に変わると言われてきた。その一夜限り、多くの植物が癒しの力を手に入れるからである。
伝統的ではないミッドサマーの柱の立て方 Photo: Simon Paulin/imagebank.sweden.se
花摘みは夏至祭の必須の活動 Photo: Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se
スウェーデンの夏は完璧な花冠の材料をもたらしてくれる Photo: Alexander Hall/imagebank.sweden.se
さあダンスを始めよう! Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se
夏至祭のために伝統的な衣装を着る人もいる Photo: Per Bifrost/imagebank.sweden.se
ニシンは夏至祭の食卓には最も重要なものである Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se
良い気候の年には、ちょうど夏至祭の時期にスウェーデンのいちごが熟している Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se
ミッドサマーには友達や家族と会うのが常である Photo: Carolina Romare/imagebank.sweden.se
乾杯! Photo: Lieselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se
これは「ダンスバナ」というスウェーデンの典型的な野外ダンスフロア Photo: Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se
寝る前に7つの花を積むことを忘れないでね! Photo: Asaf Kliger/imagebank.sweden.se
原資料掲載ページ:https://sweden.se/culture/celebrations/midsummer
翻訳時点の最終更新日 2022年5月25日
翻訳 小池桃佳 高原涼輔 中村太星 平川鈴弓
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。