目次
Photo: Melker Dahlstrand/imagebank.sweden.se
スウェーデンで起業したい? 少しでも計画的に行うことで長続きするよ
1.調査しよう!
スウェーデンのオンライン社会では、情報は手に入れやすい!だから、ビジネスを始める前に適当な研究をしない手はない!
「Statistics Sweden」というスウェーデンや人口統計に関する情報の宝庫のサイトがある。このサイトには人口や年齢から景況感、工業力まであらゆる情報が掲載されている。
もちろん、あなたが目指している業界をカバーしている業界団体もチェックすべきだ。それらは特定の業界における企業の規模や事業方式に関して、また適用される規則や市場の概況に関して情報や統計を提供しているかもしれない。
ネットワーキングは仕事につながる可能性がある。 Photo: Liselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se
2.あなたのネットワークを活かそう!
ビジネスで成功するための秘訣の1つは、どの国にいるかに関わらず自分なりのネットワークをつくること!
スウェーデンにいる友人や同僚、親戚の他に、あなたと似たような考えを持っている人をどうやって、またどこで見つけられるだろうか。
新規ビジネスのアドバイスや定期的なイベントを各国中で開催しているスウェーデン新規起業センター(Nyföretagarcentrum)の支店に連絡することもできる。Business Sweden(スウェーデン経済団体連合会)も他の企業と関係を作る助けになるだろう。
アドバイザーを見つけてネットワークを作るための他の方法として、企業登記局・税務署・経済地方成長庁という3つの関係省庁が立ち上げたVerksamt.seというウェブサイトを活用するのも良いだろう。そこにはあなたの住んでいる地域に応じたアドバイザーを見つける手助けをしてくれるページがある。
スウェーデン人はオンラインでのつながりを好むので、より多くの人と知り合うには、LinkedInやFacebook等のソーシャルネットワークサービスを使って新しい出会いを開拓し、ネットワークを拡大させよう。
3.免許を取ろう
スウェーデンにおいては、特定の業種で事業を起こすには免許が必要である。Verksamt.seには、免許を必要とする様々な取引や職業、ビジネスの一覧と、それらの免許を交付する団体の詳細が記載されている。
税務署への登録と課税は別である。 Photo: Liselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se
4.あなたのビジネスを税務署に登録しよう!
個人事業者として、あなたの新しい事業はスウェーデンの税務署(Skatteverket)が交付した個人識別番号(personnummer)によって識別される。
個人事業者としてビジネスを始めるにあたって最初に行うべきことはF-skattに登録すること。一般的にF-skattはあなたが従業員としてではなく事業者(företagare)として働くことを意味している。そのため、あなたが契約において税金や社会保障費を管理しなければ、全てあなたの責任となる。
税務署は「F-tax certification」というウェブページから手続きを始められるようにしている。そこには申請方法についても書かれている。実際の申請用紙はスウェーデン語のみの表記である。正しく記入することが重要なので、会計士に依頼するかガイダンスを受けるために税務署に個人相談の予約をとるべきかもしれない。
また税務署は無料相談会をスウェーデン語と英語で行っており、そこでは起業の手続きについて順を追ってサポートしてくれる。
スウェーデンは移住して起業する人たちに対して、それぞれ国籍によって異なるルールや規則、居住要件を設けている。北欧(デンマーク・フィンランド・ノルウェー・アイスランド)の国民は、スウェーデン移民局での登録や住居申請が必要ない。EUやEEA圏内の国民も同様にスウェーデン移民局での登録をせずに個人識別番号を申請することができる。
スイスの国民が3カ月以上の滞在を望む場合は、居住許可が必要である。
EU・EEA・スイス以外の国民がスウェーデンで事業を始めようとする場合には、渡航前に居住許可を申請する必要がある。詳細や必要書類は、スウェーデン移民局のウェブサイトで確認すること。
もしあなたがスウェーデンに一時的に滞在している場合、調整番号(co-ordination number)を税務署で申請することができる。この調整番号は個人識別番号に代わるものとしてF-taxの申請に用いられる。
5.会社名を登記して保護しよう
これは必須の手順ではないが、賢明な方法である。これにより、他の人が同じ商号で営業することが許可されないよう保証できる。会社名の登記はスウェーデン企業登記局(Bolagsverket)が有料で行っているので、ウェブサイトを参照すること。
6.事業計画を立てよう
売りたい商品やサービスが決まり、それに対する市場があることが分かったら、いよいよあなたの夢を紙に書き起こす段階に入る。銀行員や投資家、見込み客などほかの人に話を聞いてもらうためには良い事業計画が必要不可欠である。
事業計画は長く複雑なものである必要はない。ただ、あなたが何をどのように行おうと計画しているかを記したものであればよい。
履歴書と同様、事業計画のフォーマットは国によってさまざまである。ある国ではアイデアがすべてであるし、他の国では健全な財務基盤がカギとなる。Verksamt.seではスウェーデンの銀行や投資家、当局が事業計画に何を求めているかについての優れたガイドを提供している。
自分の権利と義務を知ろう。 Photo: Margareta Bloom Sandebäck/imagebank.sweden.se
7.合法的にスタッフを雇おう
少し話が進むと、他の人に仕事を提供できる幸せな立場にいることに気づくかもしれないーそうなれば、スウェーデンの雇用法の基本的な考え方について知っておくのが良い。
スウェーデンの雇用条件は、雇用保護法(Lagen om Anställningsskydd/LAS)によって規制されている。この法律によると、雇用契約は明示的に記載されていない限り、無期限であるとされる。また、一時的な代替勤務から67歳以上の特別法まで4種類の有期雇用契約についての説明も記載されている。
スウェーデンの雇用法は育児休暇や休日、年金など幅広い規定があり、雇用を決定する前に、法律について熟知しておくのが良いだろう。
労働力を確保する別の方法としては、あなたのような他の個人事業主に下請けに出すという方法が挙げられる。ただし、彼らがF-taxに登録していることを確認してほしい。関連する労働法及び法令の翻訳は、スウェーデン政府のウェブサイトに掲載されている。
8.簿記を正しく理解しよう
会計事務所を設立するのでなければ、会計士を雇おう。自分の才能を最大限に活かすことが独立のポイントであるため、数字や税金、法規制に疎いのであれば、お金を払ってでも専門家を雇うべきである。
小さな会社を専門に支援する会社がたくさんあり、その料金はサービスにかかる時間に応じて決まる。良い、信頼できる会計士を見つけるための最良の方法は、同じ業界の他の事業者に紹介を依頼することである。
スウェーデンの会計コンサルト協会に連絡をとれば、あなたの地域で適切な業者を見つけてくれるだろう。会計コンサルトは、スウェーデンの規制や法律に従った正しい請求書の書き方も教えてくれるだろう。
しかし会計士を雇ったからといって、基本的な簿記を理解する責任が免除されるわけではないため、まだの方は時間をかけて基本的なことを学ぼう。
9.ベンチャー企業の資金調達
当たり前のことだが、最初から仕事が舞い込んでくるのでなければ、ベンチャーを軌道にのせるまで、通常の生活費の支払いが出来るかを確認しておかなければならない。最初の数カ月は貯金で賄うか、フルタイムまたはパートタイムの仕事と並行してゆっくり事業を始めるのがよい。
もちろん、銀行に事業ローンを申し込むことも可能だが、ほとんどのビジネスは最初から利益がでるわけではないため、何らかの担保を設定することが求められる。
資金調達の選択肢としては、国営のアルミ(Almi Företagspartner)が、資金調達やアドバイスで企業を支援している。金利は銀行よりも高いことが多いが、要求される担保は通常少ない。アルミが提供するサービスについては、公式サイトを参照のこと。
10.事業のためのルーティンをつくろう
より一般的な話として、自分自身を律することが重要である。多くの起業家は、まず販売面でできる限りの努力をするが、管理面も慎重に行う必要がある。これは世界のどこにいても企業を志す人には当てはまる。
毎月必ず時間をとって進捗状況を確認し、どのような税金や費用が必要なのかアドバイザーに相談しよう。そうすることで、合法的なやり方を維持しながら、事業計画と進捗状況を比較し、それに基づいた調整を加えていけるようになるだろう。
原資料掲載ページ:https://sweden.se/work-business/business-in-sweden/starting-a-business-in-sweden
翻訳時点の最終更新日 2022年2月16日
翻訳 青木 瞳 高木浩志 布施香南
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。