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ノーラ・キャビン Photo: Martin Edström/imagebank.sweden.se

スウェーデンの南から北へ、注目の宿泊施設10選を紹介する。今度行ってみてはいかが?

1.ファルクネステット(Falknästet)

 南部のクラーベリ半島にあるクーレン灯台(Kullens fyr)は、スウェーデンで最も高い場所に立つ灯台である。その足元にある「ファルクネステット(鷹の巣)」は、天井から丸いベッドがぶら下がり、パノラマウィンドウから夕日を正面から眺められるワンルームホテルである。結婚式の夜にも平日の夜にも使える。

2.ファブリケン・フリレン(Fabriken Furillen)

 ファブリケン・フリーレンは、古い石灰岩の採石場の真ん中に、コンクリートと堅木で作られた作品である。建物は、荒れた工業地帯を反映しながらも、そこから逃れるための居心地の良いシェルターとして機能している。ホテルの部屋にしても隠遁小屋にしても、このデザインホテルはゴットランド島のフリレン半島という人里離れた場所にあって、特別な滞在を経験させてくれる。


ゴットランドのフリレンは、見た目がハードだが中は居心地が良い。 Photo: Furillen
3.72時間キャビン

 72時間キャビンは、当初は仕事でストレスを抱えた5人が3日間自然のそばで過ごしたら健康上どのような結果が出るかを経験してみるというプロジェクトであった。これらの木枠とガラスの家で過ごすというアイデアは、スウェーデンの自然の中にストレスを埋め込んでしまうというものであった。ダールスランド地方にある多くの湖の1つのそばにあるガラスのキャビンは、今では誰でも予約することができる。


72時間キャビンは自然に囲まれた、真にくつろげる場所である。 Photo: Jonas Ingman/imagebank.sweden.se
4.ホテル・アタイン(Hotell Utter Inn)

 ヴェステロース郊外のメーラレン湖に、一軒の赤いコテージが浮かんでいる。これは水中ホテル、ホテル・アタインの入り口だ。水上には炊事場があり、水面下には窓からは水中世界を眺めることができるベッドルームがある。ミカエル・ゲンベリ(Mikael Genberg)がアートプロジェクトとして立ち上げたアタインは、4月から10月のシーズン中、大変な人気を博している。


アタインはヴェステロースの水中ホテルである。 Photo: Pia Nordlander
5.ノーラ・キャビン(Nolla Cabin)

 ストックホルム群島にあるノーラ・キャビン(Nolla Cabin)は、ゼロエミッションを目指したものである。ロビン・ファルク(Robin Falck)が設計したこのキャビンは、太陽エネルギーで稼働し、現代の技術を利用して、どのように自給自足と再生可能エネルギー源の利用が達成できるのかを示している。
 持続可能なコテージのプロトタイプであるノーラ・キャビンは、自然を楽しむ時間を増やしながら、より少ないもので生活する方法を示す実験である。このキャビンはリーデ・ヴェルズフス(Lidö Värdshus)を通じて予約することができ、ネステ(Neste)という企業によるプロジェクト「ゼロ・アイランド(Zero Island)」の一環で建てられた。


ストックホルム郊外のノーラ・キャビンは炭素ガスの排出を最小限にする。 Photo: Martin Edström/imagebank.sweden.se
6.コラービン・エコロッジ(Kolarbyn Ecolodge)

 コラービン・エコロッジは、最も原始的なところがぜいたくである。その12棟のキャビンは泥と草に覆われ、屋根からはブルーベリーやキノコが生えている。電気やシャワーから逃れ、新鮮な空気、平和な環境、野生動物を体験してほしい。コラービンはストックホルムから車で2時間、スキンスカッテベリ(Skinnskatteberg)という村のすぐ郊外にある。


コラービン・エコロッジは、最も原始的なところがぜいたくである。 Photo: Johan von Helvert/Kolarbyn Ecolodge
7.自然の中でのキャンプ

 スウェーデンでは、公共アクセスの権利(allemansrätten、自然共有権)によって、自然の中のほぼすべての場所にテントを張る権利が認められている。ただし、人家からは一定の距離を保ち、農地には近づかないなど、いくつかのルールがある。
 スウェーデンのユニークな自然体験をするには、テントを持参し、野原や岩の上の人里離れた場所を見つけてテントを張り、静寂を満喫しよう。すべて無料である。


無料のキャンプ-スウェーデンらしさか? Photo: Erik Leonsson/imagebank.sweden.se
8.ツリーホテル(Treehotel)

 ツリーハウスがブティックホテルになったようなイメージで、森の中に広がる6棟のカスタムメイドのツリーハウスがツリーホテルだ。一流の建築家たちが、この自然の中に現代的なデザインの小さな隠れ家をつくり、訪れる人は手つかずの風景に浸ることができる。ルレオ(Luleå)から1時間ほど北に行くと、木立の中にあなたの家が見つかるだろう。


北スウェーデンのツリーホテルの鏡のキューブの部屋 Photo: Lola Akinmade Åkerström/imagebank.sweden.se
9.サーミネイチャーキャンプ(Sápmi Nature Camp)

 北極圏でキャンプ? サーミネイチャーキャンプは、世界遺産ラポニア(Laponia)地区のイェリヴァーレ(Gällivare)とヨックモック(Jokkmokk)の町の郊外にあり、サーミ式のグランピングを楽しみたい人のための施設だ。ラヴ(Lavvu)テント(ティピーのようなテント)には、ダブルベッド、ストーブ、自然やサーミの文化からインスピレーションを得た調度品が備えられている。食事は、魚、トナカイ、ヘラジカと地元のベリーやハーブを使ったサーミ料理が基本である。


サーミネイチャーキャンプの典型的なサーミのテント Photo: Lennart Pittja/Sápmi Nature/imagebank.sweden.se
10.アイスホテル

 毎年4月になると、ユッカスヤルヴィのアイスホテル全体、いやとにかく一部は、溶けてしまう。アイスホテルの一部は、一年中オープンしている。ソーラーパネルが太陽からエネルギーを得て、そのエネルギーを使って氷が溶けないようにしているのだ。残りの部分は溶けてしまい、寒い季節になると近くのトルネ(Torne)川の氷や雪を使って再び建てられる。アーティストが内装を飾り、ホテルはアート展にもなる。また、一年中暖かい宿泊施設も備えている。


おそらくスウェーデンで最も国際的に有名なホテル、アイスホテル。 Photo: Hans-Olof Utsi/imagebank.sweden.se (Artist: Petros Dermatas and Ellie Souti)

原資料掲載ページ:https://sweden.se/culture/arts-design/10-amazing-places
翻訳時点の最終更新日 2022年6月14日
翻訳 熊木裕一 平川鈴弓 布施香南
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。


Photo: Melker Dahlstrand/imagebank.sweden.se

スウェーデンで起業したい? 少しでも計画的に行うことで長続きするよ

1.調査しよう!

 スウェーデンのオンライン社会では、情報は手に入れやすい!だから、ビジネスを始める前に適当な研究をしない手はない!
 「Statistics Sweden」というスウェーデンや人口統計に関する情報の宝庫のサイトがある。このサイトには人口や年齢から景況感、工業力まであらゆる情報が掲載されている。
 もちろん、あなたが目指している業界をカバーしている業界団体もチェックすべきだ。それらは特定の業界における企業の規模や事業方式に関して、また適用される規則や市場の概況に関して情報や統計を提供しているかもしれない。


ネットワーキングは仕事につながる可能性がある。 Photo: Liselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se
2.あなたのネットワークを活かそう!

 ビジネスで成功するための秘訣の1つは、どの国にいるかに関わらず自分なりのネットワークをつくること!
 スウェーデンにいる友人や同僚、親戚の他に、あなたと似たような考えを持っている人をどうやって、またどこで見つけられるだろうか。
 新規ビジネスのアドバイスや定期的なイベントを各国中で開催しているスウェーデン新規起業センター(Nyföretagarcentrum)の支店に連絡することもできる。Business Sweden(スウェーデン経済団体連合会)も他の企業と関係を作る助けになるだろう。
 アドバイザーを見つけてネットワークを作るための他の方法として、企業登記局・税務署・経済地方成長庁という3つの関係省庁が立ち上げたVerksamt.seというウェブサイトを活用するのも良いだろう。そこにはあなたの住んでいる地域に応じたアドバイザーを見つける手助けをしてくれるページがある。
 スウェーデン人はオンラインでのつながりを好むので、より多くの人と知り合うには、LinkedInやFacebook等のソーシャルネットワークサービスを使って新しい出会いを開拓し、ネットワークを拡大させよう。

3.免許を取ろう

 スウェーデンにおいては、特定の業種で事業を起こすには免許が必要である。Verksamt.seには、免許を必要とする様々な取引や職業、ビジネスの一覧と、それらの免許を交付する団体の詳細が記載されている。


税務署への登録と課税は別である。 Photo: Liselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se
4.あなたのビジネスを税務署に登録しよう!

 個人事業者として、あなたの新しい事業はスウェーデンの税務署(Skatteverket)が交付した個人識別番号(personnummer)によって識別される。
 個人事業者としてビジネスを始めるにあたって最初に行うべきことはF-skattに登録すること。一般的にF-skattはあなたが従業員としてではなく事業者(företagare)として働くことを意味している。そのため、あなたが契約において税金や社会保障費を管理しなければ、全てあなたの責任となる。
 税務署は「F-tax certification」というウェブページから手続きを始められるようにしている。そこには申請方法についても書かれている。実際の申請用紙はスウェーデン語のみの表記である。正しく記入することが重要なので、会計士に依頼するかガイダンスを受けるために税務署に個人相談の予約をとるべきかもしれない。
 また税務署は無料相談会をスウェーデン語と英語で行っており、そこでは起業の手続きについて順を追ってサポートしてくれる。
 スウェーデンは移住して起業する人たちに対して、それぞれ国籍によって異なるルールや規則、居住要件を設けている。北欧(デンマーク・フィンランド・ノルウェー・アイスランド)の国民は、スウェーデン移民局での登録や住居申請が必要ない。EUやEEA圏内の国民も同様にスウェーデン移民局での登録をせずに個人識別番号を申請することができる。
 スイスの国民が3カ月以上の滞在を望む場合は、居住許可が必要である。
 EU・EEA・スイス以外の国民がスウェーデンで事業を始めようとする場合には、渡航前に居住許可を申請する必要がある。詳細や必要書類は、スウェーデン移民局のウェブサイトで確認すること。
 もしあなたがスウェーデンに一時的に滞在している場合、調整番号(co-ordination number)を税務署で申請することができる。この調整番号は個人識別番号に代わるものとしてF-taxの申請に用いられる。

5.会社名を登記して保護しよう

 これは必須の手順ではないが、賢明な方法である。これにより、他の人が同じ商号で営業することが許可されないよう保証できる。会社名の登記はスウェーデン企業登記局(Bolagsverket)が有料で行っているので、ウェブサイトを参照すること。

6.事業計画を立てよう

 売りたい商品やサービスが決まり、それに対する市場があることが分かったら、いよいよあなたの夢を紙に書き起こす段階に入る。銀行員や投資家、見込み客などほかの人に話を聞いてもらうためには良い事業計画が必要不可欠である。
 事業計画は長く複雑なものである必要はない。ただ、あなたが何をどのように行おうと計画しているかを記したものであればよい。
 履歴書と同様、事業計画のフォーマットは国によってさまざまである。ある国ではアイデアがすべてであるし、他の国では健全な財務基盤がカギとなる。Verksamt.seではスウェーデンの銀行や投資家、当局が事業計画に何を求めているかについての優れたガイドを提供している。


自分の権利と義務を知ろう。 Photo: Margareta Bloom Sandebäck/imagebank.sweden.se
7.合法的にスタッフを雇おう

 少し話が進むと、他の人に仕事を提供できる幸せな立場にいることに気づくかもしれないーそうなれば、スウェーデンの雇用法の基本的な考え方について知っておくのが良い。
 スウェーデンの雇用条件は、雇用保護法(Lagen om Anställningsskydd/LAS)によって規制されている。この法律によると、雇用契約は明示的に記載されていない限り、無期限であるとされる。また、一時的な代替勤務から67歳以上の特別法まで4種類の有期雇用契約についての説明も記載されている。
 スウェーデンの雇用法は育児休暇や休日、年金など幅広い規定があり、雇用を決定する前に、法律について熟知しておくのが良いだろう。
 労働力を確保する別の方法としては、あなたのような他の個人事業主に下請けに出すという方法が挙げられる。ただし、彼らがF-taxに登録していることを確認してほしい。関連する労働法及び法令の翻訳は、スウェーデン政府のウェブサイトに掲載されている。

8.簿記を正しく理解しよう

 会計事務所を設立するのでなければ、会計士を雇おう。自分の才能を最大限に活かすことが独立のポイントであるため、数字や税金、法規制に疎いのであれば、お金を払ってでも専門家を雇うべきである。
 小さな会社を専門に支援する会社がたくさんあり、その料金はサービスにかかる時間に応じて決まる。良い、信頼できる会計士を見つけるための最良の方法は、同じ業界の他の事業者に紹介を依頼することである。
 スウェーデンの会計コンサルト協会に連絡をとれば、あなたの地域で適切な業者を見つけてくれるだろう。会計コンサルトは、スウェーデンの規制や法律に従った正しい請求書の書き方も教えてくれるだろう。
 しかし会計士を雇ったからといって、基本的な簿記を理解する責任が免除されるわけではないため、まだの方は時間をかけて基本的なことを学ぼう。

9.ベンチャー企業の資金調達

 当たり前のことだが、最初から仕事が舞い込んでくるのでなければ、ベンチャーを軌道にのせるまで、通常の生活費の支払いが出来るかを確認しておかなければならない。最初の数カ月は貯金で賄うか、フルタイムまたはパートタイムの仕事と並行してゆっくり事業を始めるのがよい。
 もちろん、銀行に事業ローンを申し込むことも可能だが、ほとんどのビジネスは最初から利益がでるわけではないため、何らかの担保を設定することが求められる。
 資金調達の選択肢としては、国営のアルミ(Almi Företagspartner)が、資金調達やアドバイスで企業を支援している。金利は銀行よりも高いことが多いが、要求される担保は通常少ない。アルミが提供するサービスについては、公式サイトを参照のこと。

10.事業のためのルーティンをつくろう

 より一般的な話として、自分自身を律することが重要である。多くの起業家は、まず販売面でできる限りの努力をするが、管理面も慎重に行う必要がある。これは世界のどこにいても企業を志す人には当てはまる。
 毎月必ず時間をとって進捗状況を確認し、どのような税金や費用が必要なのかアドバイザーに相談しよう。そうすることで、合法的なやり方を維持しながら、事業計画と進捗状況を比較し、それに基づいた調整を加えていけるようになるだろう。

原資料掲載ページ:https://sweden.se/work-business/business-in-sweden/starting-a-business-in-sweden
翻訳時点の最終更新日 2022年2月16日
翻訳 青木 瞳 高木浩志 布施香南
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。

スウェーデン人はミートボール以外のものも食べる。以下の10の珍味のうち、あなたはどれか試したことがあるだろうか

1.リンゴンベリーは何にでも合う

 ケチャップやマスタードと同じように、リンゴンベリーのジャムは、ミートボールやパンケーキ、お粥やブラッドソーセージ(blodpudding)など、さまざまな料理に使用される。しかしながら、甘いにも関わらず、パンに塗られることは滅多にない。自然享受権(allemansrätten)という、自然を自由に散策したり楽しんだりできることを認める権利のおかげで、多くのスウェーデン人は、森でリンゴンベリーを摘んだり、この小さくて酸っぱい果物からジャムのような保存食を作りながら大きくなった。


リンゴンベリーは基本的にどんな料理にも合う Photo:Magnus Carlsson/imagebank.sweden.se
2.酢漬けニシン-スモーガスボードの主役

 スモーガスボード(スウェーデンの伝統的なビュッフェ)では、ミートボール(köttbullar)の代わりに小さなソーセージ(prinskorvar)を使ったり、スモークサーモンの代わりに塩漬けサーモン(gravlax)を使ったりすることがあるが、酢漬けニシン(sill)無しには成り立たない。この魚の食べ物は全ての典型的なスウェーデンビュッフェの基本であり続けている。
 北海とバルト海はニシンが大量に生息しているので、スウェーデン人は中世からニシンを酢漬けにしており、その主な目的は魚を保存し輸送することだった。酢漬けニシンには様々な味があり、数例挙げるなら、マスタード、オニオン、ガーリックやディルなどがあり、ボイルポテト、サワークリーム、刻んだチャイブ、癖のある硬めのチーズ、時にはゆで卵やクリスプレッドと一緒に食べられる。


発酵ニシンのラップ包みは、次第にクセになる味だ Photo:Magnus Skoglöf/imagebank.sweden.se

スウェーデンスタイルのニシンには、様々な形や味がある。 Photo:Matilda Lindeblad/Johnér/imagebank.sweden.se
3.クリスプブレッド-あなたのお気に入りのトッピングはどれ?

 パンとバターに加えて、クリスプブレッド(knäckebröd)がメインの料理と共によく提供される。これこそスウェーデン人が求めているものだ。かつては貧しい人の食べ物とされていたが、スウェーデンのクリスプブレッドには500年以上の歴史があり、適切に保存すれば最低でも一年は保存が効く、最も用途の広い食品の一つだ。
 スウェーデン社会庁(Socialstyrelsen)は、1970年代のキャンペーンで、スウェーデン人がクリスプブレッドを含むパンを、一日に6から8スライス食べることを推奨していた。クリスプブレッドには様々な形、厚み、味があり、店の棚を埋めつくしている。朝食にはスライスしたゆで卵やチューブのキャビアをトッピングし、昼食にはハムやチーズ、きゅうりのスライスなどをのせ、夕食にはシンプルにバターを塗って食べられている。

クリスプブレッドは軽食に最適 Photo:Jakob Fridholm/imagebank.sweden.se
4.エビサンドイッチ(Räksmörgås)その他のオープンサンドイッチ

 サンドイッチを注文した時に、一枚のパンで出てきても驚かないでほしい。それが典型的なスウェーデンのオープンサンドイッチだ。スウェーデンのオープンサンドの概念は厚い板状のパンをお皿として利用していた1400年代にさかのぼる。
 スウェーデンのエビサンドイッチ(räksmörgås or räkmacka)は、今でも王様の献立の1つである。ゆで卵とレタス、トマト、キュウリを高く積み上げ、生クリームにディルや魚卵をあえたクリームソース(romsås)をかけて食べる。エビサンドイッチはスウェーデンの文化に欠かせないものであり、何もしていないのに有利になるという意味で’glida in på en räkmacka’(文字通りに訳せば「エビサンドイッチに滑り込む」だが、ざっくり言うと「ただ乗りする」と同義)という表現があるほどだ。

王様にも提供されるエビサンドイッチ Photo: Marie Ullnert/imagebank.sweden.se
5.エンドウ豆のスープとパンケーキ

 多くのスウェーデン人は毎週木曜日にエンドウ豆のスープとパンケーキ(ärtsoppa och pannkakor)を食べて育つ。この伝統は、第二次世界大戦以降にスウェーデンの軍隊が支えてきた。その起源については、カトリック教徒が金曜日に肉を食べなかったため、木曜日に豆のスープでお腹を満たしたとか、豆のスープは木曜日を半日勤めにしている給仕が簡単に作ることができたとか、さまざまな説があるが、この伝統は確実に根付いている。伝統的なランチレストランでは、木曜日に豆のスープとリンゴンベリージャムその他のジャム(sylt)が添えられたパンケーキを提供することが多い。

エンドウ豆にチャンスを Photo:Susanne Walström/imagebank.sweden.se
6.プリンセストータ(Prinsesstårta)-王家の楽しみ

 スウェーデン中のパン屋さんのウインドウを彩っているのが、鮮やかなピンクのシュガーローズをトッピングした人気のグリーンプリンセスケーキ(prinsesstårta)だ。ジャムとバニラカスタードを塗った黄色のスポンジケーキを何層にも重ね、ホイップクリームをたっぷり乗せて、甘いグリーンのマジパンで丁寧に封をしたケーキである。
 スウェーデンでプリンセスケーキが誕生したのは比較的最近のことで、1920年代、イェニー・オーケルストレム(Jenny Åkerström)が考案した。国王グスタフ5世の弟カール・ベルナドッテ王子の娘たち、マルガレータ、メルタ、アストリッドの3王女がこよなく愛したことから、その名がついたという。
 9月の第3週がプリンセスケーキ週間とされているが、今は特別なお祭りの時に食べられたり、人生の節目に使われたりしている人気のケーキである。現在では、定番の緑をはじめ、イースターの黄色、クリスマスの赤、ハロウィンのオレンジ、ウエディングの白など、さまざまな色が用意されている。

マジパンとクリームでできたプリンセスケーキ Photo:Magnus Carlsson/imagebank.sweden.se
7.楽しみな甘いものカレンダー

 スウェーデンでは、甘いものを食べる口実がいつでも見つかる。というのも、特定の砂糖菓子を祝う日がカレンダーに定められている。10月4日は「シナモンパンの日(Kanelbullens dag)」である。
 クリームとアーモンドペーストを挟んだパン「セムラ」は、四旬節の初日であり、灰の水曜日(askonsdagen)の前日にあたるざんげの火曜日(Shrove Tuesday やFat Tuesday)に食べられる。
 3月25日はワッフル(våfflor)の日で、11月6日にはグスタフ2世アドルフ王のシルエットをかたどったチョコレートやマジパンを飾ったスポンジケーキ(Gustav Adolfs-bakelse)が食べられているが、これは1632年のこの日にリュツェンの戦いで命を落としたスウェーデン君主を悼んでのものとされている。

毎日がシナモンパンの日 Photo: Simon Paulin/imagebank.sweden.se
8.ザリガニに夢中

 8月になると、スウェーデン中の庭やバルコニーで一口サイズの淡水または海水ザリガニ(かつてラングスティーヌ、あるいは面白いことにノルウェーロブスターと呼ばれていた)を食べながら、暖かい夏の夜を過ごすザリガニパーティー(kräftskivor)があちこちで行われる。
 1500年代にはスウェーデンの上流市民と貴族だけが食べていたザリガニは、大量輸入により価格が数世紀かけて大幅に下がり、今や国民全員が楽しめる珍味となっている。

ザリガニパーティーでは、少々おバカな格好をしていても大丈夫 Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se
9.シュールストレミングは臭い

 どんな文化にも、地元の人や観光客を唸らせる名物料理が少なくともひとつはある。8月下旬から9月上旬にかけて、スウェーデン、特に北部では悪臭を放つ伝統が残っている。発酵させた酸っぱいバルト海のニシン(surströmming)の缶詰を開けて楽しむ人が、少なくとも何人かいる。この「珍味」は16世紀から取引されてきた。缶詰の開封は腐った卵や下水に例えられるほど強烈で不快な臭いがするため、できれば屋外で行われるのが望ましい。毎年8月の第3木曜日がSuströmmingの初開封の日とされている。

シュールストレミングは、本当に勇気のある人だけが食べることができる Photo:Tina Stafrén/imagebank.sweden.se
10.土曜日のお菓子(Lördagsgodis)

 スウェーデンの平均的な家庭は、大人2人と子供2人で、週に1.2キロのお菓子を食べるが、そのほとんどが「お菓子の日」である土曜日に消費される。歯を守るため、虫歯を防ぐためと言われているこの週1回のお菓子の習慣は、歴史的には、やや疑わしい医学的な施策と関係がある。
 1940年代から1950年代にかけて、ルンドにあるヴィペホルム(Vipeholm)精神病院で、お菓子に関して非常に賛否の分かれる実験が行われた。研究のための人体実験の一環として患者に大量のお菓子を食べさせ、意図的に虫歯を作らせたのである。1957年にお菓子と虫歯に直接的な関係があることが分かったことから、医療委員会はスウェーデン人がお菓子を食べるのを週に一度だけにするように勧告したのである。そして、この不文律が今でも多くの家庭で守られているというわけだ。

お菓子に目がない Photo: Lieselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se

原資料掲載ページ:https://sweden.se/culture/food/10-things-to-know-about-swedish-food
翻訳時点の最終更新日 2021年11月18日
翻訳 青木 瞳 小池桃佳 中村由芽 
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。


さあパーティーを始めよう! Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

ザリガニをお供に、ビール、シュナップス、友達、そして愉快な歌を用意しよう

 1900年代初頭、スウェーデンは川でのザリガニ漁に規制を設けた。これは乱獲の恐れがあるためで、8月から数カ月間が漁期とされた。こうしてザリガニは高級な珍味として人気を集めるようになった。また、川や湖に生息するザリガニは、カビの寄生によって何度も壊滅的な打撃を受けた。
 現在では、輸入されたザリガニが一年中販売されているが、この季節の風物詩を捨てようとするスウェーデン人はほとんどいない。8月初旬になると、メディアはその年のザリガニを詳しく調べ、有名人から情報をもらい、スーパーで売られている様々なザリガニのブランドをランキングで紹介し、この宴のための舞台を用意する。
 ある年は中国産が、またある年はアメリカ産が最高と目されたが、言うまでもなくスウェーデン産ザリガニがいつも優勝する。しかし、スウェーデン産は高価な点が問題だ。スウェーデンではザリガニは、原産地がどこであれスウェーデン人が好むように塩水で調理され、たっぷりとクラウンディルが添えられる。
 もちろん、ごく少数ながら自分でザリガニを見つけて捕ってくる人もいる。この小さな生き物は暗闇を好むので、底を這っているのを見つけることができる。餌は腐った魚や生魚で、針金仕掛けの罠で捕まえることが出来る。ただし、捕まえたザリガニは食品衛生上、生きたまま鍋に入れなければならない。

伝統的なザリガニパーティー

 かつては富裕層のものであったザリガニパーティーは、現在では誰もが参加できる行事となった。このザリガニパーティーは長い間続く伝統的なものとなっている。
 ザリガニは屋外で食べ、テーブルには色とりどりのランタンが吊るされる。最もポピュラーなのは、微笑むような満月を描いたランタンである。テーブルクロスも色とりどりの皿も紙製でなければならない。首にはビブスをつけ、頭には紙でできたコミカルな帽子を被る。
 そして、宴会が始まる。ザリガニは冷たいまま、指で食べる。ザリガニの汁を吸うときは、音をたててもかまわない。そして、パンとヴェステルボッテンなどの強いチーズを付け合わせに食べる。飲み物はビールとシュナップスが中心だ。

スウェーデンのザリガニ祭り、その起源

 スウェーデンでは1500年代からザリガニが食べられ始めた。貝類を食べることへの疑いが人々の間に広まっていたこともあり、ザリガニのような珍味を楽しんだのは貴族だけであったが、その肉はソーセージやラグー、パテ、プディングに用いられていた。

ザリガニ祭りの起源をより詳しく

 1800年代半ばに、ザリガニは今日のように食べられるようになった。8月のザリガニの祝宴や夕食は中流階級に広まりを見せた。1900年代になるとザリガニは国家的な珍味となり、社会のあらゆる人々が親しむようになった。トルコをはじめとした他国からの輸入も進み、ザリガニの価格は下落していった。人々が集まり、食卓を囲み、飲み、賑やかな時間を過ごすザリガニ祭りは、夏の終わりを告げるスウェーデンの典型的なお祭りだ。


伝統的なザリガニパーティー Photo:Patrik Svedberg/imagebank.sweden.se

まずはザリガニを捕まえよう! Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

さあ食べよう! Photo:Emma Ivarsson/imagebank.sweden.se

面倒くさいし少々臭いため、ザリガニを食べるときは外が一番だ。 Photo:Patrik Svedbergimagebank.sweden.se

原資料掲載ページ:https://sweden.se/culture/celebrations/the-crayfish-party
翻訳時点の最終更新日 2022年6月13日
翻訳 小池桃佳 高原涼輔 中村太星 平川鈴弓
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。


楽しいミッドサマー(夏至祭) Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

沈まぬ太陽の下、花冠を被り踊るミッドサマー(夏至祭)

 スウェーデンの人々は自然との共感意識が高い。毎年ミッドサマーが訪れると5週間の休暇に入り、比較的短い夏の間に急いでやるべきことを済ませようとする。ミッドサマー前夜祭は田舎で行われるので、人々は前日に街を離れ、都会では店が閉まり、通りからは不気味なほど人の姿が消えていくのだ。
 一方、国内の主要な幹線道路は渋滞するのが常である。車の列が遠くまで伸び、満開の花がきらめく白樺の間で待つ家族や友人のもとへ向かっている。

メイポールと踊り

 ミッドサマーには大勢の人が集まる。実のところ、残りの休暇を安らかに楽しむため、家族や近所にしなければならない挨拶をそこで済ませてしまおうと思って参加するスウェーデン人も多い。伝統的な夏の盛りを祝うため、家族全員が一同に集まることが多いのだ。
 メイポールは最も開けた場所に掲げられ、その周りでは子どもや大人が伝統的なリングダンスを楽しむ。10代の若者たちはそれにはあまり参加せず、夜更けにさらに盛り上がるのを待っている。

夏至祭はいつ?

 スウェーデン人は秩序を好むため、夏至祭は常に6月19日から25日の間の金曜日に行われる。人々は、たいていメイポールに飾る花を摘んだりリースを作りながら、この日のお祝いを始めていく。

ニシンと新ジャガ

 夏至祭の典型的なメニューは、様々な種類のニシンの酢漬け、茹でた新ジャガに新鮮なディルやサワークリーム、チャイブを添えたもの。この後、スペアリブやサーモンなどのグリル料理が続き、デザートには夏の初物のイチゴにクリームを添えたものがよく出される。
 伝統的なお供は冷たいビールとシュナップスで、できればスパイスの効いたものが良い。グラスにお酒が注がれるたびに、人々の歌声が響く。
 夏至祭は、ある種のノスタルジーを伴う行事である。心の奥底で、スウェーデン人たちは、夏至祭がどのようなもので、どのように進行されるべきかについて同じ考えを持っている。だから、夕食の後、多くの人は昔のように踊りに出かけたくなる。できれば、湖のほとりの屋外のダンスフロアで、夜霧が立ちこめ、対岸の岩山からオーケストラの音が響いてくるような場所が望ましい。

夢で相手を見つける

 古い伝統では、若い女性がミッドサマーの夜に7種類の異なる花を枕の下に入れると、自分の将来の相手が夢に現れると言われている。(おそらくこれは若い男性でも通用するだろう。)

神秘的なミッドサマー

 ミッドサマーの前夜は、愛のための夢の時間であると言い伝えられている。実はこの日の夜ではカップルの仲の良さが試されるのである。お酒の影響で真実が明かされ、それは結婚にも離婚にもつながる可能性がある。
 キリスト教の聖霊降臨の日のように、ミッドサマーには結婚式やキリスト教の命名式が多く開催される。スウェーデン人の中には、あまり教会に行かないにもかかわらず、花で飾られたアーチ型の門があり、美しい聖歌が歌われている教会で結婚式を挙げたいという人がいる。

スウェーデンのミッドサマーの起源

 農耕時代においては、ミッドサマーは豊穣の季節である夏を歓迎する祝祭であった。一部の地域では、「グリーンメン」としてシダで身を纏う風習もあった。また家や農具を葉で装飾し、葉のついた高いメイポールを掲げてその周りを踊るという風習が、すでに1500年代には存在していたようである。
 ミッドサマーは本来若い人々のための行事であったが、スウェーデン中心部の工場で働く労働者たちも、塩漬けニシンやビール、シュナップスの宴会が行われ、祝祭を行うようになった。しかしこれがスウェーデンで最も伝統的な祭りとなったのは1900年代になってからである。

癒しの水、魔法の夜、ミッドサマーの起源

 6世紀以降、夏至祭の焚き火はヨーロッパ中で行われており、スウェーデンでは、主に南部の地域で行われていた。若者たちは聖なる泉を訪れ、聖なる水を飲み、ゲームやダンスを楽しんだ。これは洗礼者ヨハネがヨルダン川でキリストに洗礼を授けた事を思い起こさせる。
 ミッドサマーの夜は、一年でもっとも明るく、人々の未来を占うのに最適な時期として古くから魔法の夜と考えられてきた。少女たちは夢の中で、将来のパートナーが喉の渇きを癒すようにお水をもってきてくれることを願い、塩粥を食べた。さらに月の光の反射から財宝を見つける夢を見た。またその夜には、水がワインに代わり、シダが花に変わると言われてきた。その一夜限り、多くの植物が癒しの力を手に入れるからである。


伝統的ではないミッドサマーの柱の立て方 Photo: Simon Paulin/imagebank.sweden.se

花摘みは夏至祭の必須の活動 Photo: Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se

スウェーデンの夏は完璧な花冠の材料をもたらしてくれる Photo: Alexander Hall/imagebank.sweden.se

さあダンスを始めよう! Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

夏至祭のために伝統的な衣装を着る人もいる Photo: Per Bifrost/imagebank.sweden.se

ニシンは夏至祭の食卓には最も重要なものである Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

良い気候の年には、ちょうど夏至祭の時期にスウェーデンのいちごが熟している Photo: Anna Hållams/imagebank.sweden.se

ミッドサマーには友達や家族と会うのが常である Photo: Carolina Romare/imagebank.sweden.se

乾杯! Photo: Lieselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se

これは「ダンスバナ」というスウェーデンの典型的な野外ダンスフロア Photo: Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se

寝る前に7つの花を積むことを忘れないでね! Photo: Asaf Kliger/imagebank.sweden.se

原資料掲載ページ:https://sweden.se/culture/celebrations/midsummer
翻訳時点の最終更新日 2022年5月25日
翻訳 小池桃佳 高原涼輔 中村太星 平川鈴弓
監修 明治大学国際日本学部教授 鈴木賢志
本稿は在日スウェーデン大使館から許諾をいただき、作成・公表しております。適宜修正することがあります。記載内容によって生じた損害については、一切責任を負いかねます旨、予めご了解ください。写真・図表はSweden.seに掲載されたものをそのまま転載しています。他サイトへのリンクは転載しておりません。